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東方香霖堂/第26話

出自东方维基
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第198-205頁
< 第25話   東方香霖堂   後記 >
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大人気同人STGのノベル連載も今回でひとまず終了。長い間応援ありがとうございました!! 『東方』の世界は、今後もさまざまなメディアで広がっていく予定。本連載をまとめた単行本も、2008年春発売予定なのでお楽しみに!!
幸運のメカニズム 帶來幸運的機理
  ここに賽子が一つあるとする。この賽子を机の上に投げた時、賽の目は誰にも予想できないだろう。   假如現在有一個骰子。當把這個骰子擲到桌子上時,會出現幾點是誰也預料不到的。
  例として投げた賽子の目が一だったとする。では、もう一度同じ賽子を投げたときはどうなるだろうか。   假如說擲出的骰子是一點。那麼,如果再擲一次會怎麼樣呢。
  勿論普通に投げたら何が出るのか判らないので、ある条件を付けるとする。条件とは賽子の初期条件を一致させる事、つまり位置、角度、力の入れ具合も全く一緒にすると言う条件である。   如果只是普通地擲出的話出現哪點當然還是預料不到,所以要附加一定的條件。所謂條件即是使骰子的初期狀態一致,也就是位置、角度,以及所用的力度都一樣。
  するとどうなるだろうか? 賽子は一回目と同じ様に回転しながら空中を舞い、そして全く同じ時間に全く同じ角度で机の同じ場所に当たり、同じように跳ねるだろう。初期条件を全く同じにする事は妖怪ならば出来ない事もないが、人間の手では難しいかも知れない。その場合はそういう装置を作っても良い。   結果會怎麼樣呢?骰子會跟第一次一樣地迴轉並飛到空中,然後在完全一樣的時間以完全一樣的角度碰到桌子的同一個地方,並同樣地跳起來吧。將初期狀態保持一致,如果是妖怪的話倒也不是做不到,但人類也許就會很困難。這種時候做一個相應的裝置就好。
  これならば、賽の目は再び一になる筈である。この事実が何を意味するかと言うと、何らかの拍子で世界に存在するあらゆる物体が、過去の一点と全く同じ状態に陥ったとしたら、そこから歴史が繰り返されるという事である。その瞬間から予定された未来が訪れる。さらに言うと、繰り返された歴史の最後には、必ずもう一度今の状態に戻ってくる事も予定されているのだ。もしかしたら世界は既に何度もループしているのかも知れない。   如此一來,骰子的點數便還會是一。這個事實意味著什麼呢,如果因某個契機使得世界上的所有物體都陷入了和過去的一點同樣的狀態,那麼自那時開始歷史就會重演。從那個瞬間開始已經預訂好了的未來就會造訪。再進一步說,重演了的歷史的最後,再次回到這個狀態也是被預訂了的。說不定世界已經循環好幾次了。
『――カランカラン』 「——哐啷哐啷」
  店の扉がいつもの様に来客の音を立てたのは、ある作業をしている途中だった。日常がループしているかいないかを確かめる為に必要な作業だ。   店門與往常一樣因來客而作響的時候,我正在做著某項作業。是為了確認日常是否在循環而必要的作業。
  それは日記を書く事である。二、三年前から書き始めた日記は、分量にして既に数冊分になっていた。日記とは、僕が見てきた幻想郷の仕組みを書き留めた物であり、有り体に言えば後の歴史書である。   那就是記日記。從兩、三年前開始記的日記,從分量上來看已經好幾冊了。所謂日記,是我將看過來的幻想鄉的布局記下來的東西,實際上來說,就是未來的歷史書。
  妖怪は、人間より圧倒的に寿命が長い為か、余り幻想郷の歴史を纏めようとしない。それは常に人間より優位に立てるという利点と、自分に都合が良いように歴史を変えたいと思っているのだろう。人間は歴史から様々な物を学ぶのだが、妖怪はその選択肢を意図的に奪っているのだ。   或許是妖怪比人類壽命長太多的緣故,總是不去整理幻想鄉的歷史。估計是為了要保持比人類更高的地位,和想要根據自己的方便篡改歷史的原因吧。人類往往從歷史中學到各種東西,但妖怪卻有所意圖地奪走其選擇端。
  里に住む妖怪達は、毎日の生活を楽しむ事しか考えていない。山に住む妖怪達は、同じく山に住む同士達の為だけに歴史を創る。里に住む人間は歴史を纏める余裕など無い。これでは幻想郷の歴史はまだ動き始めていないのと同じである。   住在村落里的妖怪,每天只想著怎樣享受生活。住在山裡的妖怪,只為了山裡的同胞而記述歷史。村落里的人類又沒有空閒來編纂史書。這樣一來幻想鄉的歷史就相當於沒有動作。
  僕は人間と妖怪の為に日記を書いている。僕の日記はそのまま幻想郷の歴史書となる予定である。それが幻想郷に住む妖怪と人間のありきたりの生活に吹く、新しい風となる筈だからだ。   我為了人類和妖怪而記著日記。我預訂自己的日記就原封不動地成為幻想鄉的歷史書。因為那將會給幻想鄉人類與妖怪的平淡的生活帶來一股新風。
 
「――いやぁ、今日は大漁だったぜ。こんな日は二度と無いかも知れないな」 「——哎呀,今天可真是大豐收。這種日子也許不會再有第二次了」
「何を大げさに言ってるのよ。ここん所毎年こんな感じじゃないの」 「在說什麼呀。最近幾年不都是這樣嗎」
  魔理沙と霊夢の二人が、帽子や肩に掛かった落ち葉を払いながら店に入ってきた。   靈夢與魔理沙兩個人,邊拍落帽子與肩上的落葉邊走進店裡。
  数年ほど前からだろうか、季節の変わり目になると何故か幽霊が増加するので、この時期に霊夢達が幽霊を片付けてまわるのが恒例行事の様になっていた。   大概從數年前開始,每逢季節交替的時候不知為何幽靈就會增加,所以每到這個時期靈夢她們到處收拾幽靈就成了例行公事。
  毎年繰り返される幽霊増加、僕にはかすかに覚えがある。やはりこの世界は繰り返しているのだろうか。   每年幽靈重複性地增加,我是有印象的。看來這個世界果然是在循環著麼。
「どうだい、今回の幽霊退治は。少しは幽霊は減ったかい?」 「這次幽靈收拾得怎麼樣呢。有所減少嗎?」
「それが今回も幽霊退治三昧よ。毎年増える一方なんだけど……何か対策した方が良いのかなぁ」 「傾注全力了呢。每年都一味地增加……要想點什麼對策才好嗎」
「実害がないのならば放っておけばよい。幽霊は、陽気で身が軽いから宴会騒ぎを見つけると集まってくるんじゃないか?」 「既然沒有災害的話不用理就好。幽靈因為歡快且身子輕,所以是不是看到宴會就會聚攏來呢?」
「実害ならあるぜ」 「災害可有哦」
「なんだい?」 「是什麼?」
「幽霊は食べられない」 「幽靈不能吃」
 
  あれは六十年以上前だっただろうか……今と同じように幻想郷に幽霊が増加した時期があった。幻想郷はその当時から変化する事を放棄し、平和な生活を築いていた。   那似乎是六十年之前的事了……和現在一樣幻想鄉處於幽靈增加的時期。幻想鄉從那時開始便放棄了變化,構建了平和的生活。
  安定した状態で且つ変化を嫌い、今のままであり続けようとする状態を『平和』という。今の幻想郷は六十年前のあの頃と同じような『平和』な状態にある。六十年周期で歴史を繰り返す……つまり、これから六十年先までの未来は全て懐かしい物なのかも知れない。   保持安定的狀態並嫌棄變化,想要維持現狀的狀態稱為「平和」。現在的幻想鄉就同六十年前的那時候一樣處於「平和」的狀態。歷史以六十年為周期反覆……也就是說,自此開始的六十年的未來,或許都是似曾相識的。
「この店に幽霊ホイホイとかないのかしら? 置いておくだけで幽霊が捕らえられるような何か……」 「這家店就沒有誘靈箱什麼的嗎?只要放置就可以捕到幽靈的那種……」
「うーん、幽霊を捕らえるったって、幽霊はとりもちにはくっつかないからなぁ。それに箱だろうが何だろうがすり抜けるし……」 「嗯——想要捕捉幽靈,但幽靈又不會粘到粘蟲膠呀。而且不論是箱什麼都會穿過去……」
「でも、とてもじゃないけど退治仕切れないのよ。このまま幽霊が増え続けたら、この世界はあの世になってしまうかも知れないわ」 「不過,雖說不是絕對但也很難捕完吶。幽靈這樣持續增加,現世也許就要變陰世了」
「大丈夫だよ。暫くしたらこの幽霊騒ぎも収まる。そういう未来が予定されているんだ」 「沒事的。過不多久這場幽靈騷亂也就平息了。這種未來已經被預訂好了」
  霊夢は怪訝な表情で僕を見た。   靈夢驚奇地看著我。
「霖之助さんも、吸血鬼や妖怪達と同じ事を言うのね」 「霖之助先生也跟吸血鬼和妖怪她們說同樣的話呢」
 
  巷は幽霊が異常発生したと言われているが、この店に出る事は少ない。そもそも幽霊は騒々しい処に集まりやすい。幽霊自体が儚くて今にも消え入りそうな存在だからであろうか、自分の存在を実感しやすい賑やかな場所に集まる。それは生きていた時の人間と同じで、人の多い処に集まるのだろう。   雖說幽靈異常增多,但卻很少出現在店裡。何況幽靈通常聚集在吵鬧的地方。或許幽靈自身是飄渺得像要消失了的存在,所以聚集於能夠容易感受到自己存在的嘈雜的地方。這跟活著的時候的人類一樣,聚在人多的地方吧。
「未来が予定されているって言うけど、そんな訳ないぜ。毎日の生活が運だけで成り立っている様な奴もいるしな」魔理沙が霊夢を見てそう言った。 「說什麼未來已經預訂好了,根本就不可能嘛。這裡還有個每天的生活僅靠運氣就能成立的傢伙呢」魔理沙看著靈夢說道。
「まぁ運だけというか勘だけど、勘だって何らかの根拠があっての勘なのよ」 「說是靠運氣還不如說是憑直覺呢,不過直覺也是有根據的直覺哦」
  魔理沙が信じられない、といった顔をした。   魔理沙擺出一幅不能相信的表情。
「宴会でちんちろりんやったときも、勝負にならないくらい賽の目を当てるじゃないか。そんなのに一体どういう根拠があるって言うんだよ」 「在宴會上玩大話骰的時候,不是猜出了那麼多次骰子的點數嗎,搞得別人都玩不下去了。像那樣的能有什麼根據呀」
  ちんちろりん? ああ、賽子の目を当てるだけの単純なゲームの事か。宴会で賭博とは極道の世界の様だ。   哦哦,猜骰子的點數那種單純的遊戲呀。在宴會上賭博,怎麼跟黑社會似的。
「魔理沙、霊夢が賽の目を確実に当てる事が出来るのは、きっと予定された未来を瞬時に計算しているからだと思うよ」 「魔理沙,靈夢能夠精準地猜出骰子的點數,我想一定是將預訂好的未來瞬間計算出來了的緣故」
  賽子の目が決定されるメカニズムに対する僕の考えを伝えた。霊夢は恐らく、賽子の初期状態を見て直感で結果が計算できるに違いない。世の中にある幸運とはそういう物だ。   我講述了自己對骰子出哪一點的機理的構想。估計靈夢一定是看到骰子的初期狀態時憑直覺就能計算出結果。所謂世間的幸運就是這種東西。
「霖之助さんそれは全然違うわ。いくら何でも賽子見ただけでそんな計算できっこないわよ。計算高い人は確率でしか考えないじゃない。それに、たとえ計算してもその結果通りにはならないの」 「那可完全不對哦霖之助先生。無論怎樣都不可能光看骰子就能做出那種計算。計算高明的人都是用概率來思考的。另外,就算計算出來也不一定是一樣的結果」
「何故そう思うんだい? 確かに計算出来る訳が無いってのはそうか知れないが、もし計算出来たら未来が読めるって事になるじゃないか」 「怎麼會那樣想呢?或許的確是根本就不可能計算出來,但一旦計算出來了不就相當於看到了未來嗎」
  霊夢は呆れた様な顔をした。   靈夢做出了無奈的表情。
「運に関しては私の方が数段理解が深いみたいだから、今日は私が教えてあげるわ。確率のメカニズムを。あとついでに未来が予定されていない事も……」 「看來關於運氣這方面,我的理解要深許多層呢,所以今天就由我來講解吧。講解概率的機理。順便還有未來並沒有被預訂這種事……」
  そういうと霊夢は三人分のお茶を煎れ、嬉しそうに手渡した。   說罷靈夢便倒了三人份的茶水,愉悅地遞了過來。
 
  霊夢の勘の良さの理由が聞けるのであれば楽しみである。僕はお茶を冷ますのも忘れて口に運んだ。   能夠了解靈夢直覺敏銳的原因可不錯。我都忘記了茶還沒涼好,便送入了口中。
「……ほう。霊夢は初期条件が全く同じになった賽子ですら、同じ目が出るとは限らないと言うのかい?」 「……嗯。靈夢的意思是,就算初期條件完全一樣的骰子,拋出後得到的點數都不一定一樣嗎?」
「当然そうなるわね。それだけで結果が決まる訳がないじゃない」 「當然如此。怎麼可能只靠這麼點就能決定結果呢」
  霊夢の話は難しい話ではなかったが、そこに衝撃的な真実が含まれていた。   靈夢所敘述的內容雖然不難懂,但卻包含了令人驚訝的事實。
  霊夢曰く、この世界は三つの層から成り立っているのだと言う。   依靈夢所講,這個世界是由三個層面構成的。
  まず、生き物や道具などがある物理的法則に則って動く物理の層。物体が地面に向かって落下したり、河の水が流れたりするのがこの層である。   首先,是生物或道具以某項物理法則而運動的物理的層面。比如物體向地面掉落,河水流動等都屬於此層面。
  二つ目は心の動きや魔法や妖術などの心理の層。嫌な奴に会って気分を害したり、宴会を開いてわだかまりを解いたりするのがこの層。大抵の妖怪はこの物理の層と心理の層だけで世界を捉えているから、歴史が繰り返したり、未来が予定されているといった戯れ言を言うのだと言う。   第二,是心理動作或魔法與妖術的心理的層面。遇到討厭的人而不愉快,開個宴會來消除心中的隔閡等都屬於此層面。大多數妖怪都僅從物理的層面和心理的層面來把握世界,所以就說些歷史在重複呀,未來已經被預訂了呀這類戲言。
  だが霊夢曰く、三つ目の世界の層が世界のループを拒むらしい。その三つ目の層とは、万物が出来事を覚える記憶の層。記憶の層は増える一方で減る事が無いから、過去と全く同じ状態には成りえない。もしそれが過去と同じ状態になるのだとすれば、過去と同じになったという記憶は行き場を失ってしまうから矛盾している。記憶の層は増える一方なのだ。   具靈夢所說,是第三個層面拒絕著世界的循環。這所謂第三層面,就是萬物掌握事理的記憶的層面。因為記憶的層面只會增加不會減少,所以不可能與過去的狀態相同。如果說能與過去的狀態相同,那麼記憶就會失去去處因而是矛盾的。記憶的層面只能一味地增加。
  物理の層が物理法則で、心理の層が結果の解釈で、記憶の層が確率の操作を行う感じで、相互に作用して未来を作る。記憶が過去の一点と同じになる事が有り得ない以上、未来が予定されることなど無いと言う。   物理的層面運用物理法則,心理的層面解釋結果,記憶的層面操作概率,以類似這樣的相互作用來推動未來。既然記憶不可能與過去的某一點相同,那麼未來就不可能被預訂。
  例えば賽子を一回振って一が出たとする。もう一度全く同じ条件で賽子を落としても、一が出たという事実を賽子が覚えている以上、同じ確率になるとは限らないという。   比方說拋了一回骰子得到點數一。就算再以完全同樣的條件拋一回骰子,只要骰子記住了出現過點數一的這個事實,那麼結果就不一定相同了。
  そこまで聞いて理解しようとしていた所で「それで、どうして賽の目を読めるって言うんだ?」と魔理沙が質問した。   聽了這些,我即將要理解的時候,魔理沙問道:「那你為什麼能預料骰子的點數呢?」
  僕は霊夢が考える新しい世界の図に気を取られていたが、魔理沙は冷静だ。賽の目が読める様になれば、ちんちろりんで負けないだけでなく、霊夢並みの幸運を手に入れられるかも知れないからだろう。   我被靈夢提出的新的世界的光景所吸引,然而魔理沙卻很冷靜。如果能讀准骰子的點數的話,不光玩大話骰不會輸,或許還可以得到靈夢般的幸運。
「別に私は次に出る賽の目を読む訳じゃないわ。私が賽の目を予想したという事を、賽子が覚えているの」 「其實我並不是去預測下一次會出現哪一點。關鍵在於骰子記住了我預測了點數這件事」
  賽の目の記憶に霊夢という幸運のカードが入るだけで、結果が大きく霊夢側に偏るのだという。結果が霊夢に付いてくるらしい。   骰子的記憶中加入了靈夢這張幸運卡,僅僅如此,結果就會大大偏向靈夢這一側。好似結果會跟著靈夢走一般。
「何だそれじゃあ、そんな知識、幸運の持ち主以外役に立たないじゃないか」魔理沙はふてくされた。 「這算什麼嘛,這種知識,對幸運的擁有者以外的人不是一點用都沒有嗎」魔理沙慪氣道。
 
  僕は世界の中で運の存在を何か嘘くさい、いかがわしい物だと思い込んでいた。それは未来が予定されていると考えていた事が大きな要因である。縁起物だって、ただのこじつけの塊だと認識していた。   我本來一直覺得在世界中,運氣不過是騙人的,不正經的東西。這跟我認為未來是被預訂了的有很大關係。本以為緣起物什麼的,也不過是牽強附會的東西罷了。
  だが、霊夢の言葉を聞いてこの世における運の存在を再確認した。運の良い人間、悪い人間は確かに存在する。験を担ぐ事で成功する人間もいる。ジンクスに囚われ失敗する人間もいる。それら全て初期条件だけと考えるのは確かに乱暴かも知れない。   不過,聽了靈夢的話以後,我對世間的運勢有了再認識。的確有運氣好的人和運氣不好的人。也有承擔風險卻成功了的人。也有被不吉祥纏身而失敗的人。認為這些都是初期條件決定的確實是有些草率。
  確率の決定が記憶の力による物だとすれば、縁起物が確率を操作する力を持つのも当然なのかも知れない。由来が複雑で奇異である程、記憶は多岐にわたり縁起物の格が上がるのもそれを意味している。   如果概率是由記憶的力量所決定的話,緣起物擁有能操縱概率的能力也是當然的。由來愈複雜奇異,記憶就愈多歧化進而緣起物的價值也會上漲。
  霊夢は『この世の物質、心理は全て確率で出来ていて、それを決定するのが記憶が持つ運』だと付け加えた。   靈夢又附加一句「這世上的物質、心理都是由概率構成的,起決定作用的是記憶所具有的運」
  その言葉を聞いて思い出した事がある。『この世の物質は全て確率で存在しているというのは既に常識である』という様な事が書かれた外の世界の科学書を見た事があった。その本を見て、僕は『誰がその確率を確定するのか』が判らず、いまいち理解できなかった事を覚えている。   聽了這句話後我想起來一件事。「世上的物質全是由概率構成的,這已經是常識了」我從前看過寫有這種話的外面世界的科學叢書。我還記得當時因為搞不懂「概率是由什麼確定的」,所以沒能怎麼理解。
  でも、霊夢が同じような事を考えていて、さらに確率の決定権が記憶にある事に気付いていた。それは驚くべき事だった。   然而,靈夢思考同樣的事情,卻覺察到了概率的決定權在於記憶。這真讓人震驚。
「記憶が確率を決定する……言い換えれば因果応報とも言える、凄いね。確かにその通りかも知れない。ところで君はどうやってそんな知識を身に付けたんだい?」 「記憶決定概率……也可以說是因果報應。真厲害。說不定真的是這樣呢。說來你是怎樣知曉這些知識的?」
  いつも無為に暮らしている風に見えるけど、と付け加えそうになったが、話をスムースに進める為にやめた。   本想附上一句,平時看起來總是遊手好閒的,但為了交流順暢所以還是打消了。
「もの凄く頭の良い人間に聞いたのよ」 「我是從頭腦極度聰慧的人那裡聽來的」
「もの凄く頭の良い、って言い方って何だか頭悪そうだぜ……」魔理沙が呟いた。 「極度聰慧,怎麼聽起來有點傻……」魔理沙嘟囔道。
  そんな世界の根源にまで関わるような事まで判る人間がいるのだろうか。   連這種關係到世界根源的事都清楚,有這樣的人類嗎。
「妖怪にとって歴史が繰り返されていると感じる理由は、単純に人間じゃ無いからよ。人間は短い期間で記憶の糸が途絶えるの。だから妖怪から見て人間は、生まれてから死ぬまで同じ事を繰り返しているように見える、ってだけ」 「妖怪會感覺歷史在循環,只是因為不是人類而已。人類的記憶在很短的時間內就斷絕了。所以在妖怪看來,人類自出生到死亡一直在重複同樣的事,僅此而已」
  霊夢は「霖之助さんみたいにね」と得意げに語っていた。いつもとは立場が逆なだけに、少し悔しい。   靈夢還得意地加上一句「就像霖之助先生一樣」。立場跟平時反過來了,搞得我有點窩心。
「その、もの凄く頭の良い人間は、記憶を全て本に書き留めて代々受け継いできた家系なの。だから、永く生きてきた妖怪にも、記憶の少ない人間にも判らない世界が見えてくるんだって」 「那位頭腦極度聰慧的人,她的家系代代將記憶全部記錄在書籍中並傳遞下來。因此,能夠看見活著長久的妖怪和記憶很少的人類都看不到的世界」
 
  随分と長話をしていたようだ。既に窓の色が夕方の色に変化していた。外の紅葉が部屋の中まで染み出してきているみたいだった。   感覺似乎談了很久。窗外的顏色已經變成夕陽的顏色了。好像外面的紅葉滲透到屋裡面了一樣。
「ところでもう日が沈むが、今日は何か用事があって来たんじゃないか?」 「話說太陽已經快落山了,你們今天來不是有什麼事嗎?」
「ああ、そうだった。今日来たのは他でもないわ」 「噢噢,對呀。今天來不是為了別的」
「幽霊もあらかた追っ払ったし、これから神社で宴会するんで、香霖もどうか? って誘いに来たんだったな」 「幽靈也都基本收拾乾淨了,現在要去神社搞宴會,香霖不來嗎?我們是來邀請你的」
  なるほど、それを言うだけで随分と時間がかかったもんだ。最初に用件を言わないからうっかり長話をしてしまったじゃないか。   原來如此,僅僅為了說這點事倒是花了好久時間呢。不在一開始說要事結果不小心長談了。
「誘って貰って嬉しいが、僕はやらなければいけない仕事がある。それにちんちろりんをやったって、霊夢には敵いそうにないしね」 「我很高興你們來邀請我,但我還有不得不做的工作。而且就算玩大話骰,想必也贏不了靈夢呀」
「仕事って、その本を書くことか?」魔理沙は僕の日記を指さして言った。 「工作是指寫那本書嗎?」魔理沙指著我的日記問道。
「そうだけど、ま、店自体も仕事なんだけどね」 「雖說那個也是,但開這家店不就是我的工作麼」
「まだ日記を書いてたのか。三日坊主になると思ったんだがな」 「原來還在記日記呀。本以為你會三天打魚,兩天曬網來著」
「これは日記だが、いずれ歴史書になるんだよ。簡単には止めるわけにはいかない。香霖堂発、人間の知識を豊かにする歴史書さ」 「這雖然是日記,但將來會成為歷史書哦。不能簡單地就放棄了。香霖堂印發的,能夠豐富人類知識的歷史書。」
  ここ数年の間、紙の入手が容易になってから書き始めた日記が結構な分量になっている。僕はこれを一つの本という形にして記録を残すつもりでいる。その本が幻想郷の歴史書となり、幻想郷のアカデミズムが急激に動き出すだろう。そして幻想郷は外の世界に近づき、未来は安泰な物となる(それと同時に自分の書いた本が売れれば店も安泰である)。   這幾年間,自紙張的入手便方便後開始記的日記,分量已經不少了。我打算將此記錄以一本書的形式保留下來。這本書變為幻想鄉的歷史書,並將促使幻想鄉的學識風氣極具增加吧。然後幻想鄉就會認識外面的世界,未來也就安泰了(同時自己寫的書能夠賣出去的話店也會安泰)。
  今日はさらに、ランダムから事実が決定するメカニズム、何故人によって幸不幸の差があるのか、そんな事実を知っている人間がいる事等……珍しく霊夢から物を学ぶ事が出来た。『記録ではなく記憶が未来を決定する』事も自分の本に書き留める事にしよう。そして、それを読んだ人の記憶がその人の運命のメカニズムに作用すれば、未来は予想できない物になるだろう。人間は妖怪も考えつかない未来へ進み、妖怪も明日何が起こるのか判らないといった、人間と同じ未来の楽しみ方が味わう事が出来たら幸いである。   並且今天,又了解到概率決定事實這種機理,為何人有幸運和不幸的差別,以及有通曉這種事的人類等……少有地從靈夢那裡學到了知識。「不是記錄而是記憶決定著未來」這點也寫在自己的書里好了。然後,如果讀到這句的人的記憶,能夠對他命運的機理產生作用的話,未來就會變得不可預測了。人類會邁向連妖怪都想像不到的未來,妖怪也能憧憬那種不知明天會發生什麼的,和人類共同的未來的話,那便最好了。
 
――外はすっかり暗くなっていた。今頃霊夢と魔理沙は神社で宴会をしているのだろう。いつもの面子で、いつもの様にお酒を呑んで、いつもの様に賭け事で霊夢が勝って、いつもの様に呑み過ぎてしまう……。 ——外面已經徹底變黑了。這會兒靈夢與魔理沙應該在神社擺酒宴了吧。跟往常一樣的夥伴們,像往常一樣地喝酒,和往常一樣地靈夢贏了賭博,同往常一樣地喝多……
  でも、決して世界はループはしていない。何故なら、霊夢も魔理沙も妖怪達も、人間と妖怪のハーフであるこの僕も、その事を記憶しているから。その記憶が毎日を少しずつ楽しくしていくのだから。   然而,世界決不是在循環。因為,無論是靈夢、魔理沙、妖怪們,還是半妖的我,都記著這件事。這種記憶將會慢慢使每天變得愉悅吧。
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