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東方香霖堂/第25話

出自东方维基
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第191-197頁
< 第24話   東方香霖堂   第26話 >
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幻想郷に多大なる影響を及ぼす、八雲紫。千年以上前に人間界との境界を創り出し、巫女たちを幻想郷に封じ込めているとまで言われる彼女だが、その力の源が名前に隠されていたことが明らかに…!?
幻想郷を操る妖怪 八雲の名前に隠された秘密とは…!?
八雲立つ夜
  入道が乗っているといわれる夏の雲がひとしきり雨を降らせたと思うと、昼間の暑さを奪って何処かへ行ってしまった。雨露に濡れた月の光が窓から差し込んでいる。   據說坐有入道的夏季的雲彩剛剛下了一陣雨,便奪走了午間的暑氣然後不知跑哪裡去了。只有被雨露淋濕的月光從窗間灑漏進來。
  霊夢と魔理沙の二人は昼から店内にいたのだが、突然の夕立の所為で帰る事が出来ずに今夜は店で夕食を取る事になった。   靈夢和魔理沙兩人自中午就在店裡了,不過因為傍晚的驟雨而不能回去,於是決定一起吃晚餐了。
「最近、紫の様子がおかしいのよ。もぐもぐ」 「最近,紫的樣子有些奇怪呢。吧唧吧唧」
「あいつの様子がおかしいのは今に始まった事ではないぜ。もぐもぐ」 「那傢伙奇怪又不是剛剛才開始的。吧唧吧唧」
「二人とも、口に物を入れている時ぐらい喋るのを止めたらどうかね」 「你們兩個,吃東西的時候就不要說話不好麼」
  今日は一人で食事をするつもりだったから夕食は質素な物だった。そもそも僕は余り食事を取らないのである。夕食と言っても精々、お新香をつまみにお酒を呑む程度である。そもそも人妖である僕には、食事は愉しむ為にするだけであり生命維持の為に行うのではないのである。お酒が美味しく呑めれば、それで十分なのだ。   今天原本打算一個人吃飯的,所以飯菜很樸素。本來我就是不怎麼吃飯的。說是晚餐,也不過是就著鹹菜喝些酒罷了。原本作為人妖的我,進餐不過是種樂趣而不是為了什麼維持生命。只要能喝美味的酒,這就足夠了。
  だが霊夢と魔理沙の二人はそういう訳には行かず、何か食べ続けないと力尽きいつか倒れてしまうだろう。幸い酒の肴は塩分が高い物が多くご飯にも合う。お米と塩分さえあれば暫くは元気が出せるであろう。   不過靈夢和魔理沙這樣可不行,不持續吃點什麼的話就會力盡而暈倒。幸好下酒菜通常鹽分都比較高並跟米飯很搭配。有了米和鹽分的話應該能維持一段精力。
「紫の様子がおかしいって、あの妖怪、八雲紫の事かい?」 「紫的樣子很奇怪,是說那個,叫八雲紫的妖怪嗎?」
  僕はあの妖怪が苦手だ。外の世界の物を扱ううちとしては、外の世界と幻想郷を別けている彼女にお世話になっているのだが、近くに居られると常に何か見透かされている気がして落ち着かない。   那位妖怪對我而言很棘手。雖說作為經營外面世界的物品的我來說,時常受將外面世界與幻想鄉分開的她的照顧,但在身邊總會覺得被看透了什麼似的令人不安。
「最近、紫が私に稽古を付けたりして、何かおかしいのよね」 「最近,紫在教我練功什麼的,總覺得怪怪的」
「霊夢に稽古? ……妖怪が? 変だね、妖怪が妖怪退治の専門家に稽古を付けさせるなんて……。それは確実に何か企んでいるっぽいな。それで霊夢は何か対策を取っているのかい?」 「妖怪……教靈夢練功?真奇怪,妖怪竟然會教懲治妖怪的專家練功……絕對在謀劃著什麼似的。那麼靈夢採取了什麼對策沒有?」
「だから紫が何を企んでいても大丈夫なように、しっかりと稽古する事にしたの」 「所以為了不論紫在謀劃著什麼都不要緊,我決定要好好修練了」
「まぁそれしかないと言えば、それしかないけど……」 「如果說只有這個辦法,倒也確實……」
  それはどのみち、紫の言う通りに動く事になっている。   這樣的話怎麼選擇,都相當於聽命於紫。
  幻想郷が幻想郷たる所以は、八雲紫の境界を操る力があるからである。彼女がその力を持って外の世界と幻想郷を別けているのだ。幻想郷で彼女に逆らえる妖怪は殆ど居ない。人間の力が及ばないのは言うまでもないだろう。   幻想鄉之所以是幻想鄉,是由於紫有著操作境界的能力。她用這個能力將外面世界與幻想鄉隔離開來。所以在幻想鄉幾乎沒有可以違抗她的妖怪。人類的力量就更是遠不及了。
「……八雲、紫か。自ら『八雲』って名乗るぐらいだから、どうあがいても『巫女は彼女の言いなりになる』しかないだろうね」 「……八雲、紫麼。都自稱『八雲』了,就算怎樣掙扎,估計『巫女也只能唯命是從』了」
 
  食事を終えたので月を眺めながらお酒を呑む事にした。昼の暑さを夕立が全て流し、お陰で涼しい夏の夜となった。お月見には最適な夜であるのだが既に霊夢と魔理沙の二人は入り口前の特等席に陣取っていたので、僕は後ろで立って呑む事にした。   吃過晚飯後決定邊眺望月亮邊品酒。多虧驟雨把午間的暑氣走帶走了,才有了一個涼爽的夏夜。本來是一個最佳的賞月之夜,結果門口前的特等席已經被靈夢和魔理沙占據了,我便只好站在後面品酒了。
「あーそういえば神社に洗濯物干しっぱなしだったわ。さっきの夕立大丈夫かなぁ」 「啊—說來洗過的衣服還晾在神社呢。下過驟雨了不要緊吧」
「いやまあ、大丈夫な訳が無いぜ。店から出られないくらいの雨だったんだからな」 「怎麼說呢,不要緊是不可能的。那可是沒法出門的大雨呀」
「そうねぇ、もう一度洗わないとね。ところで霖之助さん、さっきの話の続きなんだけど……何で『私が紫の言いなりになるしかない』の?」 「說的也是,看來又得洗一遍了。話說回來霖之助先生,剛才的話題……為什麼『我對紫只能唯命是從』呢?」
「ああ、だって八雲紫って名前が全てを表しているだろう?」 「哦哦,因為八雲紫這個名字就表示著一切啊?」
  僕は物を見ただけで名前が判る能力を持っている。その事もあってか名前に関してはちょっとうるさい。   我擁有看見物體就知道其名字的能力,所以關於名字方面的事頗為通曉。
  物に付けられた名前には大きく分けて二種類ある。それは『物の性質を表す名前』と『物の性質を決定付ける名前』である。前者は物の色や形等の見た目や、他の物とは異なる特徴、道具の場合等は用途で命名した物である。道具や動植物、自然物等は殆どこのパターンである。   物體的名字大體上分為兩種。那就是「表現物體性質的名字」和「決定物體性質的名字」。前者的話是用物體的色澤或是形狀外觀,跟其他物體不同的特徵,道具的話是用用途等來命名的。道具或動植物、自然物等一般都遵循這個原則。
  後者はまだ性質が定まっていない物や、ただ単に他と区別したいとき等に名付ける物である。人名や妖怪の個人名や、商品名などはこちらである。この場合は最も命名の力が大きく働く。だから人間の性格等は名前で大きく変わってくる為、名付けの親は様々な意味を持たせるのが普通である。決して口に出した時の語感だけでは命名しないものだ。   後者的話一般是給性質還沒有確定的物體或者只是單單想要區分於其他物體的物體起名時用的。人名和妖怪的個體名,以及商品名等都屬於這一類。這個時候命名的力量會起很大作用。由於人們的性格會因名字而相差很多,所以父母命名時一般都會把各種意義包含在名字裡。絕對不會只用脫口時的感覺來命名。
「八雲紫の『紫』は虹の最も外側の色だ。虹というのは雄の龍と雌の龍の通り道として二つの輪っかがセットで現れるんだが、お互いの外側の色が紫なんだ」 「八雲紫的『紫』是彩虹的最外側的顏色。彩虹是雄龍與雌龍經過的道路以兩個環為一組出現的,各自的外側都是紫色」
「確かに、虹って良く見ると二つ見える時あるけど……色の並びは覚えていないわ」 「的確,仔細看的話有時會發現彩虹有兩環……但顏色的排列記不得了」
  虹が現れる時は、良く見ると比較的はっきり見える内側の虹と、その外側に薄い虹の二つが掛かっている事が多い。それぞれの虹の色の並び方は異なっている事は余り知られていない。   彩虹出現時,大多仔細看的話會發現比較清晰的內側的虹和淡淡的外側的虹。而兩個虹的顏色排列是不同的,這一點鮮為人知。
  内側の虹は下から順に紫、藍、青、緑、黄、橙、赤の順に並んでいる。つまり、二つの虹を (まと) めて見ると下から順に見て紫から赤になり、赤からまた紫に戻る形になっているのだ。虹と空の境界は必ず紫色なのである。   內側的虹自下而上分別為紫、藍、青、綠、黃、橙、赤。外側的虹則自下開始以赤至紫的逆順序排列。也就是說,如果把兩個虹合在一起看的話,便是自下開始由紫轉紅,再由紅轉為紫這種樣子。虹與天空的境界必是紫色。
「それだけでも自分の名前が境界を暗示しているだろう? それともう一つ、『八雲』の方だが……言葉の意味だけ取ると八雲とは『幾重にも重なった雲の事』である」 「光是這樣不就已經表明著自己的名字暗示著境界嗎?還有一點,『八雲』的話……只取言詞的意思是『重重疊起的雲』」
「言葉の意味だけってどういう意味?」 「只取言詞的意思是什麼意思?」
「と言うのも、八雲という言葉は単体で使われる事は少ないんだ。八雲とは神々の地の出雲に掛かる言葉である事が多いんだ。彼女の場合は恐らく『八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を』の八雲を取っていると予想できる」 「雖然這樣說,八雲這個詞很少單獨使用。八雲大多和作為神明之勝地的出雲國掛在一起使用。她的話我估計是取『八雲涌立兮 出雲清地八重垣 欲籠妻於此 遂造出雲八重垣 在此八重垣之中』中的八雲」
  八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を   八雲涌立兮 出雲清地八重垣 欲籠妻於此 遂造出雲八重垣 在此八重垣之中
「何よその呪文」 「這咒文是什麼」
「これは素戔嗚尊 (すさのおのみこと) が詠んだ和歌だよ。何とこれが日本で最初に詠まれた和歌だと言うのが驚きだろう?」 「這可是素戔鳴尊吟唱的和歌。這首和歌居然傳說是在日本最早被詠唱的和歌,很驚奇吧?」
「へぇ。素戔嗚尊って荒々しいイメージだったけど歌を詠んだりしてたのねぇ。それでどういう意味の歌なの?」 「這樣吶。素戔鳴尊的形象歷來粗暴原來也會吟和歌啥的呀。那麼這首詩是什麼意思呢?」
「内容はもの凄くシンプルで『幾重にも美しい雲が重なる出雲の国に、我が妻である奇稲田姫 (クシナダヒメ) を隠れ住ます為に八重垣(幾重にも重なった厳重な垣根)の家を造ったぞ』って感じの物だ」 「內容非常的簡單,大概就是『在重重疊起的美麗的雲彩所重重圍繞的出雲之國中,為了讓我的妻子奇稻田姬隱居,我造了有重重柵欄圍著的家哦』這種感覺」
「……えーっと、家を造ったってだけ? 歌としてはどうなのかしら」 「……那個,只是造了一個家嗎?作為和歌的話不妥當吧」
「まあ初めての和歌だからね。八重垣を繰り返して言う所なんか、家を作った事で浮かれている感じが歌に表れていて良いじゃないか」 「反正是最初的和歌嘛。重複吟唱八雲垣那裡,把造了家那種快樂很好地表現了出來,不是挺好嗎」
「馬鹿っぽいとも言えるけどね」 「換句話說就是有點傻呢」
  巫女が神様に対して馬鹿っぽいと言うのも如何な物かと思うが……。   巫女說神明傻也是不妥當的吧……
「結論を言うと八雲紫という名前は、境界を意味する下の名前と併せて『神様を閉じこめる堅固な囲い』を表しているんだ。神様を巫女に置き換えればまさに幻想郷の構図だね。紫は決して幻想郷から巫女を逃がそうとはしない」 「從結論來講,八雲紫這個名字,跟表示境界意思的名合在一起即為『把神明關在裡面的堅固的圍牆』的意思。把神明換為巫女的話簡直就是幻想鄉的構圖啊。紫絕對不會讓巫女逃出幻想鄉」
  霊夢は黙ってしまった。思い当たる節はいくらでもあるのだろう。   靈夢沉默了。應該是有很多關於這方面的回憶吧。
  このまま黙ってお酒を呑んでも美味しい事は美味しいが、それ以上の楽しみが無いので僕の方から新しい話題を振る事にした。   就這樣沉默地喝酒說好喝倒也是好喝,但就沒有什麼額外的樂趣了,於是我決定談點新話題。
「さっきの和歌だけど、口に出してみるともう一つの側面が見えてくるんだよ」 「說來剛才的和歌,實際詠出來的話,就會發現它的另一個側面」
「八雲立つ……えーっと何だったか忘れたぜ」魔理沙がそう言ったので、僕はもう一度復唱した。 「八雲涌立兮……哎——然後的就忘了」魔理沙這樣說道,於是我又詠唱了一遍。
「『八重垣』が何度も出て来てリズム感があって詠んでて楽しいだろう? それに、その八重垣はすべて最初の八雲の『や』に掛かっているんだ」 「『八重垣』出現了很多次所以有節奏感,詠起來很有趣吧?而且這些『八重垣』都掛在最前面的『ya』上」
「や、や、や……確かにやかましいくらいだけど。何でそんな事したのかしら?」 「ya、ya、ya……都顯得很囉嗦了呢。不過為什麼要這麼做呢?」[
「勿論この事に意味がない訳がない。この『や』は八が持つ本来の意味を暗示しているんだよ」 「這當然不是沒有意義的。這個『ya』暗示著八所擁有的原本的意思」
「本当かしら? で、どういう意味なの?」 「真的嗎?那麼是什麼意思呢?」
「それは天照大神から身を隠すのに最適な『夜』と言う意味だ」 「那就是最適於在天照大神前隱身的『夜』的意思」
 
  風が冷たくなってきた。先ほどの夕立で湿った地面が乾き初め、それと同時に熱を奪われた空気が動き始めたのだろう。僕は燃料 (おさけ) を追加した。燃料は体を冷やしすぎないのと同時に、飛躍的過ぎる程の新しい発想力を生む。平常心では新しいアイデアは常識レベルを超えないからだ。   風變涼了。先前的驟雨打濕的地面開始乾燥,同時被吸走了熱氣的空氣開始流動了吧。我又添了點燃料 () 。燃料既使身體不至於過冷,又會誘發極具跳躍性的新的構思。只是平常心的新想法是逾越不了常識的限制的。
「実は八と言う数字は夜と密接な関係があるんだ。八も夜も『や』と読むだろう?」 「其實八這個數字與夜有著密切的聯繫。八和夜不是都讀作『ya』嗎?」
「それだけだと、焼き肉も夜になるぜ。ま、普通は夜か。でもそれだけじゃあ偶然じゃないのか?」 「只是這樣的話,燒肉也是夜呀。不過,一般是夜啊。僅僅如此的話只是偶然吧?」
「八と夜だけならそう思うのも仕方がないだろう。だが不思議な事に、他の国の言葉でも八と夜は殆ど一緒の読みなんだよ」 「只是八與夜的話這麼想也難免。但不可思議的是,在其他國家的語言中八和夜的讀法也是很相近的呢」
「そうなの? 流石に他の言葉はよく知らないけど」 「是嗎?但其他國家的語言可不了解」
「英語の『エイト』と『ナイト』、ラテン語の『オクト』と『ノクト』、ドイツ語の『アハト』と『ナハト』……他にも世界の言語の多くが八と夜が似ているんだ。これでも偶然かい?」 「像英語的『eight』和『night』,拉丁語的『octo』和『noct』,德語的『acht』和『nacht』……之外世界還有許多語言中的八和夜都很相似。難道這些也都是偶然嗎?」
「ふーん、外の世界の国の事はよく判らんがな。ま、どうして八と夜の言葉の読みが似ているんだ?」 「是麼,外面世界的事情不是很了解。不過,為啥八和夜的讀音會相似呢?」
「これには諸説あって、残念ながら正確な理由は誰も知らない」 「關於此有好幾種說法,但可惜沒有人知道正確的理由」
「何だよ、持ち出しておいて理由は判らないのかよ」 「什麼嘛,自己打開話題結果還不知道理由嗎」
「何しろ他の国の言語は語源に関しても調べる事が多すぎて単純じゃないんだ」 「對於他國的語言要調查太多關於語源的事情,可不是那麼簡單的啊」
  魔理沙は不満そうだったので、今度調べておくよ、とだけ答えておいた。   魔理沙看起來很不滿的樣子,於是我跟她說有機會會調查的。
「でも、日本に限って言えば理由は想像付く。日本では『八雲』、『八重垣』、『八百万の神』と、八とは単純に個数が八つと言う意味ではなく、数が非常に多いと言う事を示している事もあるのだが……その用途に使われる時は必ず『や』と言う読み方をする事に注目したい」 「不過,只限於日本的話理由倒是能想得到。『八雲』、『八雲垣』、『八百萬的神』,在日語中八並不僅是單純地表示個數是八,也經常表示數量非常多的意思……希望你能夠注意八在表示後者時的讀法一定是『ya』」
「坂の多いと言う意味の『八坂』、幾重にも花びらが重なった『八重桜』、多くの首を持つ『八岐大蛇』……。確かに、多いという意味の時んも読み方は『や』ね」 「表示坂非常多的『八坂』,花瓣重重疊起的『八重櫻』,擁有多個頭部的『八岐大蛇』…… 的確,用於表現數量多的時候得讀法都是『ya』呢」
「これらの言葉は、漢字が当たられる前から存在していた古い言葉なんだ。今の日本語では、数が多い事を八とは言わないよね」 「這些詞語,都是在對應漢字之前就存在的古老的言語。在當今的日本,要表示數量多的話可不會用八呀」
「八人前で大量に持ってこられても困るぜ」 「說要八人份結果端來一大堆也會困惑呀」
「結論から言うと、数が多い『や』に八の字を当てたのは、八が大きい数だったからに過ぎない」 「從結論說的話,把八填給數量多的『ya』,只不過是因為八這個數比較大而已」
「八が大きい数? もっと大きい数なら幾らでもあるぜ?」 「八是大數?比八大的數不是有的是嗎?」
「いや、一桁の数字で考えると九が最大だが、八も九に次いで大きな数字だ。でも九は久、つまり永久を意味し、昔から無限を表していた。漠然と多いと言う状態は有限だから、感覚的に無限よりは少ない事が判る。だから、九の一つ下の八の字を『や』に当てた、と言った感じじゃないかな」 「不不,只考慮一位的話九是最大的,八便是第二大的呀。不過九是久,也就意味著永遠,自古就表示著無限。籠統地說很多都是指有限的,感覺上要比無限小一些。因此,把緊接著九的八填給了『ya』,大概就是這樣子吧」
「ふーん。元々八は『や』とは読まなかったと言うのね? それが夜と何の関係が?」 「這樣麼。也就是說,八原來是不讀『ya』的嗎?但這和夜有什麼關係呢?」
「八では夜が『や』だったんだよ。非常に多いと言う言葉に夜を当てたんだ」 「不是八,夜才原本是『ya』的呀,把夜套在了表示非常多的這個詞語上」
  それだけではない、日本の数字の呼び方にはもっと多くの秘密が隠されている。   不僅如此,日本的數字的讀法還隱藏著許多秘密。
「何で非常に多いという言葉が夜なのかしら?」 「為什麼非常多的這種意思的言語會是夜呢?」
「今夜みたいな、月の明かりだけが頼りの夜に空を眺めて見ればいい。何で夜が非常に多い、と言う言葉になったのか判ると思わないかい?」 「像今晚這樣的,你望望這只能依靠月光的夜空吧。不覺得就能夠理解為什麼夜是表示非常多的了嗎?」
 
  数刻前に夕立を降らせた雲の姿はもう何処にも見あたらなかった。その代わり、幻想郷の夜は無数の星で埋め尽くされていた。お酒を呑むのを忘れて星空を眺めた。空に流れる銀色の河は、全ての星の数を数え上げようとした無謀な挑戦者の野望を打ち砕くのに十分過ぎた。   幾個時辰前降下驟雨的雲彩已經不見蹤影。此時,幻想鄉的夜空被無數的星星所填滿了。我忘記了喝酒而仰望著星空。在空中流過的銀色的河流,對於打碎想要數遍所有星星的無謀的挑戰者的野心,早已足夠了。
  それとは対照的に昼の空に浮かぶ太陽は無二の存在であった。天照大神、つまり太陽が最高神として崇められる様になるのは当然の結果であろう。   與此相對,白天浮於天空的太陽卻是獨一無二的存在。天照大神,也就是太陽會被奉為最高神而受到崇拜,便是很自然的結果。
  夜には無数の星が浮かんでいた。まるで太陽から身を隠さなければいけない者達のか細い光の様だった。満点の夜空は、人間の存在が太陽に比べるとちっぽけな物だと言う事を感じさせられると同時に、太陽に負けた妖怪達の切なさも表しているようだった。   夜空浮有無數的星星。如同不得不在太陽面前把自己隱藏起來的生命所發散的微弱的光芒一樣。滿點的夜空,既讓人們感受到自己的存在跟太陽相比是如何的渺小,同時,又好像表現著輸給太陽的妖怪們的苦悶似的。
「何にしても、紫が何を企んでいても大丈夫な様に修行するしか無いのね」 「不管怎樣,為了不論紫有什麼企圖時都能夠應付,我只好認真修練了吶」
「ま、そういう事になるかな。霊夢にとっても稽古になって力が付くのなら良い事だし、それに……」 「嗯,的確是這樣。對靈夢來說也是練功的機會,能夠增加實力的話是好事啊,而且……」
  紫に敵う訳が無いのだから、逆らう理由も無いのだ。   也根本不可能敵得過紫,所以也沒有違抗的理由。
「うん。取り敢えず神社に帰ったら、新しい修行のメニューでも考えるかな」 「嗯。等回到神社了,便先想想新的修行計劃好了」
「その前に、夕立で悲しい事になっている筈の洗濯物を再度洗濯するのが先だぜ」 「在那之前,應該先把因為驟雨而悲慘了的曬洗的衣服再洗一遍才對」
「うう」 「嗚嗚」
「大体、夏に夕立なんて付き物だ。昼間晴れていようと、外に洗濯物を出したまま長時間家を離れるなんて不用心すぎるぜ」 「說來呀,驟雨可是夏天的附屬物。無論白天怎樣晴朗,在外晾著衣服而長時間地離開家可太不謹慎了」
「洗濯物は濡れてるんだから、雨で濡れても似たような物だし」 「要曬洗的衣服本來就是濕的,被雨淋了不也差不多」
「まあそうかもしれんけど」 「這倒也是」
「いやいや、そんな事ばかりしていると服が傷んでしまうよ。そうじゃなくても君たちの服は弾幕で寿命が短いんだから、洗濯ぐらいはちゃんとした方が良い。物を大切にしないといけないよ」 「不不,如果總這樣的話對衣物可不好。就算不這樣,本來你們的衣服因為彈幕而壽命就短,所以至少應該做好洗滌才對。物品可是要愛護的啊」
「はいはい。明日は乾くまで神社を離れないわよ。夏の日差しなら一眠りもすれば乾きそうなもんだしね」 「好吧好吧。明天等晾乾之前我不會離開神社。夏日的光照的話估計小睡一會兒就幹掉了」
「眠っていたら留守なのと変わらんがな」 「雖說睡著的話跟不在家是一樣的呢」
 
  数字の一は『ひと(つ)』とも読める。一二三を『ひぃふぃみぃ』と数える様に、一は『ひ』である。それは言うまでもなく日、つまり太陽の事だった。日本の数字は、太陽に始まり『ふぅ(風)』『みぃ(水)』と空、大地と経て、夜まで繋がっている。日本の数字は九までで森羅万象を表しているのだ。   數字的一可以讀作「hi to (tsu)」。一二三數作「hyi fwu myi」這樣的,一即是「hi」。不必說便是指日,也就是太陽。日本的數字,自太陽起,接著「fwu(風)」「myi(水)」,經過天空、大地,直至夜晚。日本的數字到九為止就表現出森羅萬象來了。
  数字一つとっても言葉とはこれだけ深い意味を持っている。だからという訳でもないが、名前に数字を含める事は深い意味を隠しやすく、強力な妖怪ほど数字を名前に含めたりするのだ。数字を、ただの個数を表すだけの言葉だと思ったら大間違いである。そう思って周りの物を見てみると良い。巧妙に隠された秘密が見えてくるかも知れない。   僅僅是一個數字,言語就包含著如此深的意義。因此儘管不是一定,但由於把數字放在名字中容易隱藏深刻的意義,所以強大的妖怪往往會擁有含有數字的名字。如果把數字,僅僅當作是用來表示個數的言語的話,可是大錯特錯的。你這樣想著看看周圍的物體,或許便會發現巧妙地隱藏著的秘密。
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