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東方香霖堂/第19話

出自东方维基
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第142-149頁
< 第18話   東方香霖堂   第20話 >
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『東方』製作者・ZUN氏自らがストーリーを執筆し、唖采弦二氏による幻想的な挿絵で贈る第19話。大量発生した蝉の鳴き声のなか、霖之助が語った蝉にまつわる神秘とは…!?
奇跡の蝉 奇蹟之蟬
  朝夕の風に涼しさが混じる。冥界から来たご先祖様のお盆観光ツアーも、一頻り顕界を堪能すると満足げに戻って行った。これから昼の暑さも段々と落ち着いていく事だろう。   朝夕之風裡混有着涼意。從冥界而來進行盆景觀光遊歷的先祖們,也體驗了一番現世後滿意地回去了。自此往後,午間的熱度便該會慢慢降下去了吧。
「何か最近、蝉が五月蠅くないか? こんなに奇妙な鳴き声の蝉も知らないし」 「你不覺得最近,蟬的叫聲很吵嗎?我可不認識叫聲這麼奇怪的蟬呢」
  隣で本を読んでいた魔理沙は、一言そう言うと乱暴に本を閉じ、帽子の鐔で耳を押さえた。確かに、蝉が異常に五月蠅く、しかも余り聞いた事の無い鳴き声だった。だが、僕は苛つく事もなく、彼女に聞こえるように少し大きめの声で言った。   在旁邊讀着書的魔理沙,在說完這句話後粗暴地將書合上,並用帽沿把耳朵堵住了。的確,蟬異常地吵鬧,而且鳴叫聲是沒怎麼聽過的。然而,我並不煩躁地,為了她能夠聽見而大聲說到。
「ああ、今年は奇跡の蝉の年なんだよ」 「哦哦,因為今年是奇蹟之蟬的年頭啊」
「へえ、それはどういう意味だ?」 「是嗎,那是什麼概念呢?」
  僕はこの蝉の鳴き声を知っている。このけたたましさを11年前にも味わった事がある。   我認識這個蟬的叫聲,這種令人驚奇的感覺我在11年前也體驗過。
  11年前の夏、いつもの様に不良在庫の整理をしていると、森の方から低いうねり声のような音が聞こえてきたのだ。   11年前的夏天,像往常一樣地整理囤積的商品時,從森林那邊傳來了低吟似的聲音。
  11年前は、魔法の森の入り口に香霖堂を構えてからまだ数年目と間も無い頃で、その時の僕は魔法の森に関して詳しくなかったし、その奇妙な音が珍しい蝉の鳴き声だと言うことは判らなかったのである。   11年前,自我開始在魔法森林的入口處開辦香霖堂還沒過幾年,那時的我既對魔法森林不怎麼熟悉,也沒有發覺那奇妙的聲音就是蟬的鳴叫聲。
  その11年前の音の正体が判ったのは、僅か二日前だった。   我搞明白11年前的那個叫聲的,還僅僅是在兩天之前。
 
  ――二日前。僕はけたたましい蝉の鳴き声で目が覚めた。蝉とは不思議な生き物で、ある日突然鳴き始め、そしてあっという間に居なくなる。それに地中に何年も潜伏して、思い出したかのように地上に出てくるのだ。そういう性質もあって、僕は蝉には寛大なつもりでいた。   ——兩天前。我驚醒於那令人驚奇的蟬鳴聲。蟬是一種奇妙的生物,會自某日起突然開始鳴叫,然後又在一瞬間消逝掉。而且還是在地下潛伏多年後,忽然想起來般的來到地面上。因為有這種性質,所以我對蟬還是很寬容的。
  だが、今年の蝉は異常だった。普段聞き慣れない低い鳴き声も普通の蝉とは異なるし、それに明らかに数が多いのだ。   然而今年的蟬很是異常。不光聽不慣的低吟的叫聲與往常的不同,數量也明顯增加了。
  余りの五月蠅さに、仕方が無く暑い中窓を締め切っていた。このままでは窓を閉め切っているので暑いし、商品の保存状態にも悪影響だ。それに夜も満足に眠る事が出来ないし、客も寄りつかない。   由於實在太吵,只好把窗戶都關上了,這樣下去的話不僅因為關上了窗而很熱,而且不宜於商品的保存。就連晚上也睡不好覺,並且客人也不會來。
  僕は暫く蝉の駆除の方法を考えていたが、締め切った店の暑さに耐えきれず、久々に店を出て里へ出掛ける事にした。勿論、その間も蝉の駆除の方法ばかり考えていた。   我本來是在想着驅除蟬的方法,但實在受不了封閉的店內的熱度,所以決定久違地出去走走。當然,其間我也一直在思考蟬的驅除方法。
  店から遠ざかると次第に鳴き声が小さくなっていく事が判った。どうやら魔法の森にしか棲んでいない蝉の様である。僕は少し安心した。最悪、店に居られないくらい五月蠅くても、昔お世話になった人間の家にご厄介になると言う事も出来るからだ。蝉の寿命は短く、数日で静かになるだろう。   我發覺愈遠離店鋪蟬的鳴叫聲就愈小。看來那種蟬只棲息於魔法森林呀。我稍稍安心了下。最壞的情況,如果吵到不能繼續待在店內的話,還可以去從前受過關照的人家打攪幾天。蟬的壽命又短,沒多久就會安靜下來的。
  そんな事を考えながら霧雨家を訪れた。霧雨の親父さんとは最後に会ってから、もう十年以上も経とうとしてたのと、お客以外の里の人間に会うのが苦手な事もあって、酷く緊張していた。既に年老いているであろう親父さんは、僕を認識出来るだろうか……。里の人間は歳を重ねると成長し、老けていく。その当たり前の変化が少ない僕は、どうしたって里に長く居る事が出来ない。里の人間に不快感や恐怖を与えてしまうのだ。   邊想着這樣的事邊拜訪了霧雨家。由於自最後與霧雨的主人見面已經過了十多年之久,而且苦手於和作為客人之外的村子裡的人見面,所以十分緊張。估計已經年邁了的主人家,是否還會認出我呢……村子裡的人隨着年齡的增加而成長並年老,少有這種理所當然的變化的我,怎樣都不能久留於村子裡。因為會給村裡的人們帶來不愉快以及恐怖感。
  だが、そんな緊張も軽い世間話ですぐに消え失せた。僕は霧雨の親父さんんと霧雨家の商売の話や、今の香霖堂の商品、外の世界の道具について等、そんな話をして緊張も解け、いよいよ話題は本題である五月蠅い蝉の事に移ろうとしているその時だった。   不過,這種緊張感也隨着輕鬆的世俗話而消失了。我跟霧雨的主人家聊些霧雨家的買賣,現在香霖堂的商品,外面世界的道具等等。就在緊張感隨着這些話而化解,話題終於向着作為主題的吵鬧的蟬之事轉移的時候。
 
「――霧雨家で森の方から聞こえていた音が、11年前に聞いた低いうねり声の様な音と同じ音だと言う事に気付いたんだ」 「——我察覺到了,在霧雨家聽到的從森林那邊傳來的聲音,和11年前聽到的低吟似的聲音是一樣的」
「随分と気付くのに時間が掛かったんだな」 「為了察覺到還真是花了不少時間啊」
「里に着いた時から何となく記憶の奥底に引っ掛かる物があったんだが、何せ11年前は蝉の鳴き声だとは思わなかったからね。言い訳をすると高い音は遠く離れれば離れる程かき消され、低い籠もった様な音だけが聞こえるもんだ。今年は店のすぐ近くまで蝉が押し寄せているようだが、11年前は遠くで鳴いている音しか聞こえなかったんだ。今とは印象も大分違ったんだよ。だから店を離れて初めて気付いたのさ」 「自到達村落起就感覺記憶深處好像有什麼東西,畢竟11年前沒有想過那會是蟬鳴聲。作以解釋的話,高亮的聲音離的愈遠就愈被抹消,最後就只能聽見低吟似的聲音了。看來今年的蟬距店鋪離得很近,不過11年前就只是聽到遠處的鳴叫聲而已。所以離開店鋪後我才得以察覺」
  暑くなってきたので、窓を開けて換気をすることにした。少し開けた途端、蝉の鳴き声の洪水が店内に押し寄せてきたので、指一本分くらい開けた所で手を止めた。   稍稍變熱了,於是決定把窗戶打開透透氣。但剛打開一點,蟬鳴聲就如同洪水般地涌了進來,於是就只打開了一個手指的寬度。
「何にしても11年前の不思議な音も、蝉の鳴き声だと言う事が判った。僕は親父さんにこの蝉について何か知っていないか質問してみたんだ。あ、そうそう親父さんは元気だったよ?」 「總之是知道了11年前的奇妙的聲音也是蟬鳴聲。我便向主人家詢問是否知道有關於這種蟬的事。啊,對了對了,你父親很健康哦?」
「蝉が五月蠅すぎて良く聞き取れないぜ」 「蟬吵得我聽不清你說什麼」
「結局、親父さんも今聞こえている音が蝉の鳴き声だと言う事は知らなかった。勿論、この蝉の正体も判らないと言う。となると、ますます僕は蝉の正体が気になってね。霧雨家を後にして里のとある人間の家を訪ねたんだ」 「結果,主人家也不知道現在聽到的聲音是蟬鳴聲,當然,也就不清楚這種蟬的事。這樣的話,我就愈來愈想知道蟬的真面目了。於是我離開霧雨家而拜訪了村落里的另外一戶人家」
  その人間とは、里の人間で最も多くの資料を持ち、知識も深い稗田家である。千年以上続く由緒正しき人間の家系だ。稗田家が持つ膨大な蔵書には、幻想郷のあらゆる事柄が収められている。その他にも外の世界の資料も少なくない。   我所拜訪的,是在村落里擁有最多資料的,知識也最為豐富的稗田家。是持續了千年以上的由來正統的人類的家系。稗田家擁有的龐大的藏書,收錄着幻想鄉所有的事件。除此之外外面世界的資料也有不少。
  稗田家には『御阿礼の子』と呼ばれる子供が百年から百数十年単位で生まれる事がある。この御阿礼の子は、膨大な資料を全て暗記できる程の知能を持つと言われ、今現在、九代目が家に居るそうである。   在稗田家,被稱作「御阿禮之子」的孩子會以一百年至一百幾十年為間隔出生於世。這個御阿禮之子,據說擁有把龐大的資料全部暗記下來的能力,現今,第九代貌似就在家中。
  稗田家の資料は人間向けに書かれた一部を除いて門外不出であったが、最近はその規制も緩くなり正当な理由があれば一般にも公開するようになった。有難い事に人間以外にも公開しているのである。   稗田家的資料除了面向人類而寫的一部分外,本來是不予公開的,不過最近這個制度有所緩解從而變得只要擁有正當理由,也會公開給一般大眾。值得感謝的是也公開給人類以外的種族。
「ふーん。そんな人間が居るってのは霊夢に聞いた事が有ったが……そんな面白そうな資料を抱え込んでいたとは驚きだな」 「嗯——曾經聽靈夢說過有這種人……但沒想到竟然擁有這麼有趣的資料呀」
  ちょっとだけ開いた窓は風を取り込む機能を果たしていなく、部屋は暑いままだった。帽子なんて被っていたらいっそう暑いに決まっている。魔理沙は、今度はそこに遊びに行こうか、と言って帽子を取って団扇の様に扇ぎ始めた。   稍稍打開的窗戶並沒有發揮其透風的機能,屋子裡仍舊很熱。戴着帽子的話無疑會更熱的。魔理沙說着,下次去那裡玩玩吧,同時便把帽子摘下來開始扇風了。
  魔理沙の言う遊びとは言うまでもなく盗みの事だろう。牽制のつもりで「稗田家の主人と霧雨の親父さんは仲が良いよ」と言うと魔理沙は悔しそうな表情を浮かべて「さっさと蝉の話に戻せ」と言った。   魔理沙所謂的玩玩不用說一定是指去偷東西。我牽制性的說了句」稗田家的主人與霧雨家的主人是交好」,於是魔理沙露出氣餒的表情說到」快說回蟬的事吧」
「そう、確かに稗田家の資料は膨大だった。余りの資料の多さにどこから探して良いのか判らなかったんだけど、九代目御阿礼の子は『全ての資料を暗記している。紙に書いてあるのは他の人に伝える為だ』って言ったんだよ。半信半疑で『この五月蠅い蝉の事の記述はないか』と訊ねたら、すぐに教えてくれた。御阿礼の子の記憶力は半端な物ではないね」 「嗯,的確稗田家的資料是龐大的。本來因為資料太過多了而不知從哪裡開始查好,但第九代的御阿禮之子卻說『所有的資料都有暗記下來。紙上寫的是傳達給他人用的』。於是我半信半疑地詢問到『有沒有關於這吵人的蟬的記述』,卻立即得到了答覆。御阿禮之子的記憶力之強果然不是空穴來風的」
「ふーん。ま、この五月蠅い蝉の事が判ったんなら、駆除の方法も判ったんだろう? さっさと何とかしてくれよ。魔法の森の何処に行っても五月蠅くてかなわん。難聴になるぜ」 「是——嗎。總之,這吵人的蟬的事了解了的話,驅除方法也該清楚了吧?快點治一治吧。無論去到魔法森林的哪裡都吵得受不了。都快得幻聽了」
「だったら耳栓でもすればいい。この時は、既に僕の中で興味が変化していたんだ。駆除の方法よりも、この蝉は何故11年ぶりに大量発生したのか、を知りたくなっていたんだよ」 「那堵個耳塞不就行了。在那時,我抱有的興趣已經轉移了。比起驅除的方法,我更加想知道這種蟬為什麼會時隔11年而大量產生」
 
  蝉は狂ったように鳴き続けていた。次第に耳は慣れ、そこまで鬱陶しくなくなって来たが、いつもより大きめな声で話していた為かのどが渇く。僕は二人分お茶を淹れた。   蟬就像發了狂一樣地繼續鳴叫着。聽久了耳朵倒也習慣了,也不覺得有多惱人了,但也許因為需要比往常更大聲地說話所以很口渴。於是我倒了兩人份的茶水。
  そもそも、蝉の生態は謎に包まれている。蝉は7年程土の中で成長し、ある日突然地上に現れると7日間だけ忙しなく鳴いて、さらに別の生を受ける為に体を捨てる。蝉とは罪人が地獄で罪の清算が終わった後、その魂が転生されるまでの苟且の姿であると言われている。   話說回來,蟬的生態滿是謎團。蟬在地底成長大概七年,某日突然出現在地面上並不厭其煩地鳴叫七日,而且為了重生而丟棄身體。傳說蟬是罪人在地獄清算完自己的罪過後,在其靈魂轉生之前的暫時的形態。
  さらに、資料によると外の世界にはもっと特殊な蝉が居るらしい。それは、13年蝉と17年蝉と呼ばれる蝉である。名前の通り、13年に一度だけ土の下から出てくる蝉と、同様に17年に一度だけ出てくる蝉だそうだ。   並且,據資料說外面的世界貌似還有更加特殊的蟬。被稱為13年蟬17年蟬什麼的。正如其名,據說是13年出土一次的蟬和17年出土一次的蟬。
  幻想郷に現れた蝉は、11年に一度だけ大量発生する不思議な蝉で、一部の人の間では『奇跡の蝉』とも呼ばれるそうである。何故奇跡の蝉と呼ばれるかというと、11年と言う長い年月を土の中で暮らすと言う不思議さもその要因の一つだが、なんと言ってもこの蝉が発生する年は決まって豊作になるかららしい。資料はそこで終わっていた。   在幻想鄉出現的蟬是每11年才大量產生的不可思議的蟬,在部分人當中還被稱做「奇蹟之蟬」。要說為什麼被稱做奇蹟之蟬的話,一方面是其不可思議地要在土裡生存11之久的歲月,但更為重要的是因為貌似每次這種蟬出現的年頭都是作物豐收之年。資料在這裡就截止了。
「ふーん。で、何で11年なんだ? 外の世界の13年も17年も、そもそも何で普通の蝉だって7年も眠っているのか不思議だが」 「嗯——但為什麼是11年呢?外面的世界的13年和17年也是,況且就算普通的蟬要沉睡7年也是很奇妙的呢」
  稗田家の資料には、魔理沙が抱くような当然の疑問に対する答えはなく、ただ客観的な事実だけが書かれていた。それは資料としては正しいが、読む側としては何か物足りない。   在稗田家,對於像魔理沙抱有的很自然的疑問並沒有解答,只是客觀地記述着事實而已。這雖然作為資料而言是正確的,但閱讀的一方總會覺得少了點什麼。
  当然僕も、魔理沙と同じ疑問を抱いた。しかし、僕と魔理沙が徹底的に違うところは、僕の場合は自分で考えるしかないが、魔理沙の場合は周りに答えを知っている人物が居ると言う事だ。答えを知っている人物とは、勿論僕の事である。   當然,我也抱有着和魔理沙一樣的疑問。但我跟魔理沙根本性的不同在於,我的話只能自己去思考,而魔理沙的話周圍有知道答案的人。所謂知道答案的人,當然是指我。
「少しは自分で考えようとしないのかね、君は」 「你就不能稍微試着自己去想一想嗎」
 
  魔理沙にとっては、僕に説教される事なんて何とも思って居ないようだった。帽子で扇ぎながら僕の話の続きを待っている。蝉の鳴き声は苛つきを助長させるのか、僕も少し苛つき易くなっているのかもしれない。   對於魔理沙而言,被我說教好像是無所謂的事。在用帽子扇着風等待着我的解答。也許是蟬的聲音助長了煩亂得情緒,貌似我也變得容易煩亂了。
「まあいい、今回は少し複雑な話だしね。まず、11年周期の蝉が幻想郷で最初に確認出来たのは、今から百年前程前だと言われている。つまり、百年前頃に外の世界で絶滅して幻想郷にやってきた可能性があると言う事だ」 「算了,因為這次的話題是有些複雜呢。首先,以11年為周期的蟬最初在幻想鄉得到確認據說是百年前的事。也就是說,有着在百年前於外面的世界滅絕而來到幻想鄉的可能性」
「元々は、外の世界に11年周期の蝉が居たって言うのか?」 「是說原本在外面的世界也有着11年為周期的蟬嗎?」
「そう考えれば、外の世界には7年だけじゃなく、13年周期の蝉も17年周期の蝉も居るって言うんだから、至極自然だね」 「這樣想的話,外面不光有7年蟬,還有着13年以及17年蟬就是很自然的了」
「うーん。余り自然とは思えないな。7年と13年と17年が居るんだったら、残りがあるとすれば10年と15年だろう? 11年なんて中途半端だしな」 「哎——倒不覺得有多自然。有7年和13年還有17年的話,剩下的應該是10年和15年吧,11年感覺很牽強呢」
  なるほど、魔理沙は数字同士の中間を埋める事で自然になると考えているようだ。7と13の中間は10、13と17の中間は15だ。恐らく、論理的な物は何もなく直感のみであろう。誰しも、間が等間隔になると言うのは気持ちの良い物である。ここから判る魔理沙の性格は、部屋の中が本以外は滅茶苦茶に散らかっていようと、本は系統別に纏め、巻数も順番通りに並べるタイプである言う事だ。僕は、その通りだなと思い、少しおかしかった。   原來如此,魔理沙是想通過填補數字的間隔來達到自然的效果呀。7和13的中間是10,13和17的中間是15。恐怕是沒有任何理論性的根據而只憑直覺的吧。無論是誰,間距變成等間隔的話都會覺得舒服吧。由此可以知道魔理沙的性格是,就算屋子裡書以外的東西都堆得亂七八糟,但書都會分類捆好,卷數也按順序擺放的那一類。我想着的確如此呢,並感到有點好笑。
  しかし、勘の鋭い霊夢だったら、この場は何と答えていただろうか。   不過,第六感敏銳的靈夢的話,如果在此會怎樣回答呢。
「いや、11年で良いんだ。むしろ外の世界の蝉に、11年だけが欠けている事に気付かないといけない」 「不不,11年就好。倒不如說應該覺察到外面的世界只欠缺着11年才行啊」
「7年、11年、13年、17年……何だか気持ち悪い数字の並びだな」 「7年、11年、13年、17年……感覺是個令人噁心的數字排列呀」
「判るかい? これらの数字は、1と自分以外で割り切る事が出来ない数字、素数だと言う事に」 「發現了嗎?這些數字除了1和自身以外不再有別的約數了,都是素數」
 
  7にしろ、13にしろ、17にしろ、素数である。7以上で同様に素数は、11、13、17、19、23……と続いていく。   7也好,13也好,17也好,都是素數。7以上的素數,以11、13、17、19、23……繼續下去。
  僕は、外の世界の蝉に7、13、17とあって、何故か11だけが欠けている事に気付いたのだ。そして、幻想郷には11年周期で発生する蝉が居る……。   也就是說,我發覺了外面世界的蟬有7、13、17年的,卻只欠有11年的。然後,幻想鄉裡面有以11為周期的蟬……
「だから、僕は11年の蝉は元々外の世界の蝉で、何らかの理由で地上では絶滅したと予想した」 「所以,我便猜測11年之蟬原本是外面世界的蟬,卻因什麼緣由而滅絕了」
「うーん。ま、また説教されるかも知れないけど、一応訊いておくぜ。何で蝉は素数の年数だけ土の中で眠るんだ?」 「唔——可、可能又要被說教,不過還是問下好了。為什麼蟬在土中只沉睡素數年呢?」
「それは当然の疑問だね。だが残念だが、この疑問に関しての明確な答えは無い」 「這是正常的疑問呀。不過可惜,對於這個疑問沒有什麼明確的答案」
「えー……って疑問のまま香霖が納得する訳が無いだろう?」 「哎—……但仍然是疑問的話香霖不可能會認可的吧?」
「その通りだ。よく分かっているな」 「正是如此。你還蠻明白的嘛」
「ほれ、解説を続けても良いぜ」 「好了。你可以繼續解說了」
  何か上手く利用されている気がするが、まあいい。   雖說感覺被聰明地利用了似的,不過罷了。
「……素数、つまり割り切れない周期でしか発生しないと言う事は、それぞれの蝉が同時に大量発生する機会が非常に少ないと言う事だ。13年の蝉と、17年の蝉が同時に大量発生する周期は……221年に一度だけしかない。そうする事で、同時に大量発生してお互いが不利益になる年を極力減らしているのだろう。魔理沙が言っていた様な10年や15年では、30年に一度は当たってしまう」 「……素數,也就是只以不會被除的數為周期產生,就意味着各種蟬同時大量產生的機會很少。13年蟬和17年蟬同時大量產生的周期……221年才有一次。估計是以此來盡力減少由於同時大量產生而導致相互不受益的年頭。如果像魔理沙說的10年15年的話,30年就會碰上一次了」
「なるほど、何となく判ったぜ。蝉って頭が良いな」 「原來如此,我感覺明白了。蟬還真聰明呢」
「蝉の頭が良い訳ではない。先も言ったように、蝉は地獄から送られてくる魂の容れ物だと言われている。つまり、地獄の閻魔様が作ったシステムだろう。頭が良いのは当然だ」 「並不是蟬聰明。像我先前說過的,蟬據說是從地獄送來的靈魂的暫容所。也就是說,這是地獄的閻魔大人所做的系統。當然是很聰明的呀」
「でも、何で11年の蝉だけ絶滅して幻想郷に発生したんだ?」 「但是,為什麼只有11年之蟬滅絕了而在幻想鄉產生呢?」
「推測でしかないが、11年の蝉と13年の蝉、17年の蝉が同時に大量発生し、一番若い11年の蝉が犠牲になったのでは、と僕は想像する。それらの三種の蝉が全て同時に大量発生するのは、なんと2431年に一度しか無い。百年ほど前についにその運命の年が来て、11年の蝉が幻想に追いやられたんじゃないかな」 「雖然這只是推測,但我想,可能是11年蟬和13年蟬,以及17年蟬同時大量產生,其中最年輕的11年蟬喪生了。這三種蟬要想全部大量產生,竟然2431年才有一次。大約於百年前這個命運之年終於到來,11年蟬就被趕到幻想鄉來了吧」
「うーむ。そうかもな。そう言う話を聞くと、この五月蠅い蝉も珍しくて貴重な気がするぜ。何せ11年に一度の奇跡の蝉だしな」 「唔——可能確實如此。聽了你這番話,也感覺這吵人的蟬好似很值得珍惜一樣呢。因為是11年一次的奇蹟之蟬呀」
「そうだ、だから駆除するなんて事はしたくない」 「對哦,所以不想做什麼驅除的事了」
 
  僕は思い切って窓を開けた。11年の蝉が、長かった罪の清算から解放された喜びを表すかのように、けたたましく鳴いていた。   我下決心把窗戶打開了。11年之蟬,好像要表達從長久的罪過的清算中得到解放的喜悅一樣,響亮地鳴叫着。
  相変わらず、魔理沙は耳を押さえ、苦い顔をしている。にもかかわらず、自分の家に帰ろうとしないのは、店より自分の家の方が五月蠅いからだろう。   魔理沙還是老樣子,把耳朵蓋上,並做出痛苦的表情。然而她卻不回到自己的家裡,想必是家裡比店裡還要吵鬧吧。
  客でもないのに店に居座られては迷惑なので、僕は魔理沙を追い出した。渋々出ていったが、きっと自分の家には帰らず、神社かどっかにお世話になるつもりだろう。人間の里には自分の親が住んでいるのだから、そこへ帰れば良いのに……。   又不是客人卻待在店裡的話我是很困惑的,於是就把魔理沙趕了出去。看她不情願地走了,但肯定不會回到自己家,估計會到神社還是哪裡打攪去了。明明在人類的村落里住有着自己的親人,回那裡不就好了嘛……
 
  この蝉は後何日ほど鳴き続けるのだろうか。そんな事を考えていたら、蝉と地獄の閻魔様に纏わる奇妙な符合に気付いてしまった。   這種蟬往後還要繼續鳴叫多久呢。想着這樣的事,竟發覺到蟬和地獄的閻魔大人之間的奇妙的交叉點。
  閻魔様は初七日から満中陰、7日起きに審理を行う事で有名である。この7は素数であり、通常の蝉の地中に潜む年数や地上で鳴いている日数と一致する。さらに審判が終わった後に転生の為に地中に潜伏すると考えると、不思議な事に11年、13年、17年の蝉が同時に大量発生する周期の年数と、通常の7年の蝉が潜伏する日数はほぼ同じになるのである。   閻魔大人從初七至滿中陰,以7日為間隔進行審理可是出了名的。這個7是素數,並與普通的蟬在地底潛伏的年數以及在地上鳴叫的天數是一致的。再者,如果考慮在地底潛伏是為了審判後的轉生的話,11年、13年、17年的蟬同時大量產生所需的年數,竟然不可思議地與普通的7年之蟬潛伏的日數是大致相等的。
  蝉は不思議な生き物だ。地獄の閻魔様が作ったシステムの上で生きていると言う事は、もっと緻密で不思議な性質を持っていて、その性質一つ一つに呪術的な意味がある可能性がある。   蟬是不可思議的生物,以地獄的閻魔大人所做的系統為基準生存,就意味着擁有更加嚴密和神奇的性質,並且其每一個性質都擁有咒術意味的可能性。
  何故、地獄に堕ちた魂と同じ様に長い間地中で過ごすのか。何故、地上に出てから短い期間で居なくなるのか。人間は、輪廻転生のうち現世に居る期間が一番短いと言う事なのか。   為何,跟墮落到地獄裡的靈魂一樣長久地潛伏於地下。為何,來到地上以後很快就會消逝掉。難道說人類在輪迴之間,處於現世的時間是最為短暫的嗎。
  だとすると、妖怪は死ぬとどうなるのだろうか。妖怪と人間のハーフである僕はどうなるのだろうか。店の窓を再び閉め、一人考え込んだ。   如果是這樣的話,妖怪死後會怎樣呢。半人半妖的我死後又會怎麼樣呢。我再次把店鋪的窗戶關上,一個人陷入了沉思。
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