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東方香霖堂/第14話

出自东方维基
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第98-106頁
< 第13話   東方香霖堂   第15話 >
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森近霖之助は物につけられた〈名前〉を視ることができる。彼は、その一風変わった力のために道具屋(香霖堂)となったのか。それとも物たちを愛するがために、それらの〈名前〉を視られるようになったのか。そんな霖之助のところへ霊夢が奇妙な石を手にやってきた。〈名前〉を視る能力すら及ばない不思議な石くれ、その正体とは―――?絶好調の東方シリーズ連載、真夏の気怠い昼下がりを、香霖堂の饒舌の目立てが抜けていく。 森近霖之助可以看到物品被賦予的「名字」。然而,究竟該說是他的這一奇異的能力成就了他和香霖堂呢?還是該說正是由於他對那些物品的感情才使得他可以看到它們的「名字」呢?這一天,靈夢拿着一塊奇妙的石頭找到了霖之助這裏。就連霖之助也無法憑藉其能力看到這塊不可思議的石頭的「名字」,這塊石頭究竟是——?一帆風順的東方系列連載,香霖堂里的神侃與鑑定的過程將吹散盛夏午後倦怠的氣息。
名前の無い石 無名之石
  元来この世のあらゆる物には名前は付いていない。この世は様々な物すべてが混ざった混沌の世界だった。だが、太古の神々がこの世の物一つ一つに名前を付けてまわり、今の世の様に秩序の取られた世界が生まれた。物に名前が付くとそこに境界が生まれ初めて一つの物として認識される。謂わばその命名の力は無から物体を生み出す創造の力であり、まさしく神の力に等しい。そして、その強い力故、物は名前を付けられた事を覚えている。だから僕はその名前を視ることができるのである。   世間萬物原本都是沒有名字的,世界也本是個萬物紛雜的混沌之所。但是,自從遠古的諸神為這世上之物一一取名之後,像如今這樣擁有了秩序的世界也就隨之誕生了。當一件物品有了名字之後,物與物之間就會劃分出境界,而這件物品也才會因此而得以被認知。換句話說,這種賦予名字的力量就是使物體從「無」中誕生的創造之力,這也正等同於神的力量。而且,緣於這種力量的強大,物品在被賦予名稱時就會記住自己的名字,也正是因此,我才能得以看到它們的名字。
 
  僕は窓を開け、店内に夏の風を取り入れていた。外は人が出歩くには厳しい夏の日差しだった。店内はそれほどでもないが、それなら少し風でも楽しもと、僕は窓に風鈴を釣り上げた。   我打開着窗戶,好讓夏日的微風吹進店裏來。屋外強烈的日照肯定會讓走在路上的人們叫苦不迭的。我的店裏面倒還不止於如此,所以為了能夠多享受一些微風帶來的樂趣,我在窗口處掛上了一串風鈴。
 
  ―――カランかラン   ———叮噹叮噹
「居るよな」 「你在吧?」
「居るけど……何か嬉しそうだね。魔理沙にしては珍しくもなく」 「在是在……不過看你好像挺高興的嘛。雖然對於你魔理沙來說這倒並不稀罕。」
「珍しいのか何なのか判らないぜ」と言いながら魔理沙は帽子を取り、売り物の壺の上に腰掛けた。冷やかし[1]に来た割には随分暑そうだ。 「稀罕不稀罕的我可就不知道啦。」一邊說着,魔理沙一邊把帽子摘下來,然後就坐到我要賣的罈子上去了。她也就是過來嘲弄我而已,不過看上去卻是很熱的樣子。
  外はすっかり夏である。大きなスカートとふわふわの服。大きな黒い帽子と魔理沙の重装備では、暑くないのかと心配だが大きな帽子は日光を避けられるので案外快適なのかも知れない。   現在已經完全進入了夏季,這時候的魔理沙還在穿着她那身長長的裙子、較厚的衣服。還有她的那頂大大的黑帽子,再加上身上的重裝備,真擔心她到底熱不熱。不過那頂大帽子能遮蔽一定的陽光,所以也許說不定還很舒適呢。
「あー暑すぎて頭が煮えるぜ。それでこんな物拾ったんだが、これって外の世界の石だろう?」 「啊—太熱了腦子裏都要煮開鍋啦。對啦我撿到了這麼個玩意兒,這個是外面世界裏的石頭吧?」
「あー?」 「啊—?」
  魔理沙が四角い小さな石を取り出した。驚くべき事に金属の足が何本も生えている不思議な石だ。   魔理沙掏出一塊四四方方的小石頭來,令人驚奇的是這塊不可思議的石頭上竟長着幾條金屬的針腳。
「これは……確かに外の石だが」 「這個嘛……倒的確是外面的石頭。」
「そうだろうそうだろう。こんな変な石が幻想郷にある訳無いもんな。それで、何か面白い物なのか?」魔理沙は嬉しそうだ。 「就是吧就是吧,這麼怪的石頭怎麼會是幻想鄉里的呢。那,這玩意兒有什麼好玩兒的嗎?」魔理沙很高興的樣子。
「これは半導体と言って、外の世界ではよく使われている人工の石だ。基本的には式神を扱う時に使う物だが……残念ながらこれ単体では何の役にも立たないよ」 「它叫半導體,是一種在外面世界經常會使用到的人工製造的石頭,基本上它是用來操縱式神的,不過……很遺憾,只有一個這個的話是沒有任何用處的。」
「あーそうなのか?何が足りないんだ?」 「啊—這樣啊?那少了什麼呀?」
「そこまでは判らないが、これはもっと大きな道具のほんの一部でしかないよ。本来こういった石は幾つか組み合わせて使うんだ。そうすると式にありとあらゆることを命令できるらしい」 「再多我就不知道了,這不過是一種更大的工具其中的一部分而已,本來應該是幾塊像這樣的石頭組合在一起用的,那樣的話似乎就可以命令式神讓它做任何事情了。」
「そうか、これ一つだと足りないんだな。ま、取りあえずお守りにでも使わせて貰うよ」そういうと魔理沙は半導体を帽子のリボンに付けた。 「是嘛,光這一個東西還不夠是吧。算啦,我就先把它當成個護身符用吧。」說着魔理沙就把半導體別到了帽子的蝴蝶結上。
 
  魔理沙は自分が持ってきた石の正体が判り、満足した感じで本を読んでいた。半導体はちゃんと使う人が使えば、ありとあらゆる事ができると言われている。具体的な使い方は判らないが、それでもありとあらゆる事ができるとのだからお守り程度には使えるのだろう。大きさ的にも親指大程度で邪魔にならないし丁度良 いのかも知れない。   魔理沙知道了自己拿來的那塊石頭究竟是什麼之後,就滿足地在那兒看起書來了。都說半導體只要是會用的人好好加以利用的話,它就能做成一切事情,我雖然不知道具體該怎麼用它,不過既然什麼事情都能做了,那麼把它當個護身符來用肯定沒有問題吧。論大小也就拇指粗細,又不佔地方,應該是很適合的。
  魔理沙にとって、名前が判るまではこの半導体もただの石である。ちょっとばかし黒くて足が生えているだけの石だ。名前が付いていなかった魔理沙の世界では物の区別をする事が出来ない。でも僕に名前を聞く事で、たちまち石は単独で動き出し、晴れてお守りになったのだ。   對於魔理沙來說,在知道它的名字之前,這塊半導體也就不過是個有點兒發黑的、長着針腳的石塊兒而已。在魔理沙那個什麼東西都沒有名字的世界裏,她是無法區分這些物品的。然而在向我問清了它的名字之後,這塊小石頭就瞬間搖身一變、身價倍增,起到了一個護身符的作用。
  しかし、別に僕が名前を付けた訳ではない。名前は既に付いていたのだ。僕と魔理沙の違いは、ただその名前を見えたか見えないかだけに過ぎない。道具になった気持ちで見つめ、道具が視てきた記憶を共有る。それが道具に対する愛であり、その愛さえあれば名前を知ることぐらい朝飯前である。   不過當然,這名字並非是我給它起的,它本身就已經有名字了。我與魔理沙的不同,僅僅在於是否能夠看到它的名字而已。在凝視一件工具的同時,要有一種自己也變成了一種工具的感覺,以此來分享這件工具所經歷的記憶,這便是對一件工具的感情,而且只要擁有這份感情,得知一件工具的名字就易如反掌了。
 
  ―――カランカラッ   ——叮噹哐
「居るかしら?」 「有人在嗎?」
「おう居るぜ」 「哦!有喔!」
「あ、居た居た魔理沙、ってあんたじゃないわよ!霖之助さんの方は居る?」 「啊,太好了可找到你了魔理沙……去你的,我才不是來找你的呢!霖之助在這兒嗎?」
「ああ霊夢か、居るよ。今日は何の用かな?」 「啊啊是靈夢呀?我在。今天你有什麼事兒呀?」
「霖之助さんに見て貰いたい物があるの」と言いながら、霊夢は勝手に店の奥へ上がっていった。 「我有樣東西想讓你給看一下。」說着靈夢就隨隨便便地進了我的店。
「何だい?お茶ならこっちに出してあるよ」 「是什麼東西呀?茶水已經倒好放在這邊了喲。」
「ああそう。準備が良いじゃないの」戻ってくると手には煎餅を持っていた。ちゃっかりし過ぎだ。 「啊啊看到了,準備得還真周全嘛。」等她再走過來時手上已經拿着塊薄餅了。太狡猾機靈了。
「で、見て貰いたい物ってなんだ?」何故か僕の代わりに魔理沙が訊いている。 「我說,你是要讓他看什麼東西呀?」這時魔理沙卻替我發問起來。
「そうそう、この石を見て貰いたいんだけど……」 「對了對了,我是想讓他來看看這塊石頭的……」
  また石である。やはり霊夢も外の石か何かを持ってきたのだろうか。別に石なんて大喜びで拾ってくるような物では無いと思うが。石がそのまま道具になるなんて、漬け物石か火打ち石ぐらいな物だし。   又是塊石頭,難道靈夢也拿了塊外面的石頭或是什麼別的東西來?我可不覺得一塊石頭撿來有什麼可歡天喜地的,而且,要說什麼石頭拿來直接就能用,那也就屬鹹菜缸里的石頭和硝石了吧。
「結構大きいな。でも普通の石じゃないのか?」と魔理沙。 「夠大的呀,不過這不是塊普通的石頭嗎?」魔理沙問道。
「よく見てよ!」 「你再仔細看看呀!」
「ちょっと見せてごらん。……ほう。これは」 「稍微讓我展兩眼。……哦—?這個是……」
  手渡された石は、動物の背骨の一部分の様な形をしていた。つまりこれは石ではなく骨だ。それ自体は珍しい物ではないが、ただ、大きさが異常だった。背骨の一部だとすると手のひらほどもあるのは、かなり大きすぎる。   遞到我手上的這塊石頭,外形看上去像是某種動物的脊椎骨的一部分,也就是說這不是塊石頭而是塊骨頭。這本身倒也沒什麼可稀奇的,可怪就怪在它太大了。要說這是一節脊椎骨的話它要有一個手掌那麼大,這可太大了。
「これってな何かの骨でしょう?所謂化石よねぇ。霖之助さんなら何の化石か判ると思って来たの」 「這個是什麼動物的骨頭吧?就是所謂的化石嘍?我想要是霖之助的話就肯定會知道這是什麼動物的化石,所以就把它拿來了。」
 
  ふむ。この石は確かに『化石』に見える。   嗯,這石頭看上去的確像是「化石」。
「骨の化石か。もしこんな大きさな骨の動物が居たら生きていたら相当でかいぜ?きっと香霖堂よりもでかい。昔はそんな大きな動物も居たんだな。これはなんて言う動物の骨なんだ?」 「是骨頭的化石呀。要是以前有什麼動物的骨頭這麼大的話,那它的個頭兒也得小不了,肯定比香霖堂還得大。以前還有過這麼大的動物哪,那這是種什麼動物的骨頭呀?」
  魔理沙も死んだ動物の骨の化石だっと思っているようだが……本来化石という物が地面に理まっているはずはない。化石というのは骨を掘り出した人が後日化石にした物だ。それに昔はこんな大きな動物が居たと言うなんて勘違いも甚だしい。僕は二人に、この骨がなんの骨なのか、化石と呼ばれる骨には現代では考えられないほど極端に大きい物があるのは何故か、を教えてやらねばなるまい。   看來魔理沙也認為這是已死的動物留下來的骨頭的化石……其實本來是不可能有化石這種東西被埋在地下的,所謂的化石,實際上是把骨頭挖掘出來的人日後使其成為化石的。而且,以前曾經有過這麼大的動物這一說法也是極大的謬誤。看來我必須得告訴這兩個人,這塊骨頭究竟是什麼的骨頭,還有若把它稱作化石的話,那麼如此大的生物在現在來看根本不可能存活過,這又是為什麼。
「ああ霊夢、魔理沙。君達は大きいな勘違いをしている様だね。」 「啊啊,靈夢、魔理沙,看來你們對這方面的誤解很深呀。」
 
  ―――夏の日差し強ければ強いほど店の中は暗くなる。店には所狭しと品が置いてあるが風通しは悪くない。幻想郷が山であるため基本的に風は絶えず、夏の店の中は快適である。   ——盛夏的日照越是強烈,我的店裏就會愈加地陰暗。雖然我的店裏滿滿當當地堆放着很多的商品,但是通風的條件並不差。由於幻想鄉坐落於山區,基本上時刻都會有風吹過,所以在夏天,我的店裏還算是比較舒適的。
  夏の風が窓に釣り上げた風鈴を鳴らす。だが香霖堂の謎の商品がカタカタと風に揺れ、風鈴の音をかき消していた。こんなに商品を風に当たてていたら、すぐに傷んでしまうだろうと思っていたが、どうせ大して売れないし新しい品もどんどん入荷するので気にしていなっかた。勿論、本当に貴重な品は全て別の所に保管してあるのだが。   夏日的微風吹響了窗邊懸掛着的風鈴,但是香霖堂里那些不明身份的商品也被風吹得咔嗒作響,風鈴便被它們掩蓋了聲音。我曾經還考慮過,要是就這樣讓商品被風吹着的話,那東西不很快就會變質了嗎?不過現在看來,反正這些東西賣也賣不出去,新品還會源源不斷地供應過來,所以也就不去在意了。當然了,真正貴重的物品全部都在別處被好好地保管着。
 
「勘違いって何かしら?誰がどう見てもこれは骨の様な気がするんだけど」 「你說的誤解指的是什麼呢?我覺得不管誰怎麼看都會認為這是塊骨頭呀。」
「ああ確かにこれは骨だよ。でもね、化石ではないんだ」 「啊啊,這的確是塊骨頭,不過呢,它可不是化石。」
「どう見ても石になっているような……」 「好像不管怎麼看它都已經成一塊石頭了呀……」
「化石というのは、『石となった骨の元の動物に名前を付けた石』の事なんだ。生きていた時の動物の名前が付いて初めて化石となるんだよ。それまでは名前が無いので石と区別が無いに等しい」 「這化石呢,其實指的是『為已變為骨頭的這種生物命名的石頭』。只有曾經存活過的這種生物有了名字,那麼它的骨頭才能成為化石,在此之前由於它沒有名字,所以它的骨頭和石頭是沒有區別的。」
「だったら、この石の元の動物の名前を霖之助さんに聞けば、これは化石になるんでしょう?」 「那樣的話,我只要向霖之助你問出這石頭原本主人的名字,這石頭就能成為化石了吧?」
「確かにそう言う事になるが……実際にはそれも無理な話だ。この動物はまだ神々が名前を付ける以前の生き物だから、名前の無い動物なんだよ。こればっかりは僕の能力も知ることの出来無い物なんだ」 「倒確實是這麼回事兒……不過其實這也是不可能的。這種動物是在諸神給萬物命名之前存活的生物,是一種沒有名字的動物。就因為這一點,我以我的能力也是不可能知道它的名字的。」
「そう、じゃ、発見者である私が名前を付けて良いのね?」 「這樣啊,那,是我發現的這塊石頭,我就能給它起個名字了吧?」
 
  名前を付ける力が神の力であるのと同時に、神々には元々名前は付いていなかった。建御雷命(タケミカジチノミコト)や八幡様の様に、今現在馴染みのある名前の付いている神は、その神の一側面を切り出した物に過ぎないのだ。建御雷命は元々甕霊(ミカツチ)であり、名前の通りカメに宿る神だったのだ。それが名前を建御雷命に変えられた事で、呪術(=甕)の神が剣(=雷)の神になった。名前が付いた事でその神の性質が変化するのは、名前は神の一側面を切り出した物であるという証拠だ。元々の神はもっと姿形も曖昧で、名も無き者と区別も付かなかったと言う事である。   雖然給萬物命名的力量是神的力量,不過諸神原本卻是沒有名字的。像建御雷命或是八幡大神這樣的、現在已經是家喻戶曉的神靈們的名字,實際上其所反映出的只不過是這位神靈的一個側面而已。建御雷命本來是瓮靈,正如其名,它一直是寄宿於瓮中的神。而當它的名字演變成為建御雷之後,原來的咒術(=瓮)之神就成為了現在的劍(=雷)之神。只因有了名字,這位神靈的性質就發生了變化,這就證明了名字只反映該神靈的一個側面的說法。這也說明,神靈原本的形態其實要更加地曖昧,它們與沒有名字的萬物是根本沒有區別的。
  逆に言えば、本来の姿のままの神は、名前を付ける以前の物にしか宿ることはない。名前が付いている物に神が宿っても、その神の一側面のみを表すことになってしまうからである。   反過來講,保有原本形態的神靈,它們只會寄宿於還沒有被命名的物體之中,因為神若是寄宿到了一個已經有了名字的物體裏的話,這樣東西僅僅只能反映出這位神靈的一個側面而已。
「君はこれを骨じゃなくて化石にしたいのかい?」 「你不想讓它是骨頭了,想讓它成為一塊化石麼?」
「そういう訳じゃないけど……名前が判らないと気持ちわるいじゃないの。それにこんなに大きな動物がどういう生き物だったのかも気になるし」 「倒不是這個意思……不過連這個叫什麼都不知道不覺得有點兒不自在嗎?而且我也很在意這麼大的動物到底是一種怎樣的生物。」
「この骨の持ち主が大きかったって?それが一番の勘違いなんだ」 「你說這塊骨頭的主人很大?這就是你最大的誤解呀。」
「だってぇ……」 「可是……」
「こんな大きな骨を持った動物を想像してごらん。高さはこの店を遥かに超える、長さも神社の境内くらいあるだろう。そんな生き物が生きていける訳 がないじゃないか。まず十分な食料集めるのにどの位量が必要か、それに体を支えるだけで精一杯で速く動くことも出来ないだろう。どうやって子供を守りながら大量の餌を集めるというのか?動物にそんなに体を大きくする必要なんて、何一つ無いんだよ」 「你想像一下,哪個動物能有這麼大的骨頭?它的身高得遠遠超過我這家店,身長也得跟神社的庭院差不多了吧?那樣的動物怎麼可能能夠存活下去呀。首先要餵飽肚子它必須得找多少吃的東西?一身骨頭光支撐它的體重就已經是極限了,它也不可能能夠迅速地走動吧?那你說它怎麼能在保護幼仔的同時大量地尋找食物呢?對於一種動物而言,那麼龐大的身軀是沒有任何必要的呀。」
「え?でも、ここに骨があるじゃないの。それにこういう化石、というか化石みたいな物って余所でも一杯見つかってるし……これとかあれって何なの?」 「哎?可是,這裏不是有它的骨頭嗎?而且這種化石,或者說是像化石一樣的東西,在別處也能找到很多很多呀……這個,還有那些東西又是什麼呢?」
 
  珍しく魔理沙は興味なさそうに本を読んでいる。そんな大昔の動物の話などどうでも良いのだろう。だが、これは大昔の動物の話ではないのだ。現在進行形の話である。   很少見地,魔理沙似乎對這件事情沒有興趣,她仍舊在那邊看着書,也許對於她來說,那麼早以前的動物的事情怎樣都無所謂吧。不過,這可不是什麼早前動物的話題,這可是現在進行時的話題。
「この骨の持ち主は元々普通の大きさだった。今僕達が知っている大きさの骨だったんだ。その動物が死んだ後、肉は土に還り、残された骨は次第大きく成り続けた。その証拠に、こういった大型の化石が発見され、騒がれ始めたのはつい最近の話だ。その昔はもう少し小さくて、発見されても騒ぎにはならな かったんだよ。」 「這塊骨頭的主人本來個頭兒是很一般的,也就是說它曾是塊大小我們都能接受的骨頭。這種動物死後,肉體回歸於土地,留下來的骨頭卻開始逐漸地變大。其證據就是,這種大型的化石被發現、人們開始議論紛紛都是最近的事情。在早些的時候它們要再小一些,所以即便被發現了也沒有引起什麼議論。」
「死んだ後に骨が勝手に大きくなるって言うの?そんな事有る訳が無いじゃないの」 「你是說動物死了之後它的骨頭會自己變大?哪兒會有這種事兒呀?」
「勿論、普通はそんな事は起こらない。では何故この骨が大きくなったのか……そう、その理由はこれが化石じゃなかったから。この動物は、まだ名前が付けられるより前の動物だからなんだ」 「當然,一般來說是不會有這事兒的。那麼為什麼這塊骨頭變大了呢……不錯,原因就是這根本不是塊化石,而且這種動物是存活於神命名之前的。」
  僕はお茶を手に取った。既にお茶はぬるくなっていたが勿論わざとである。暑い夏に平気な顔で熱いお茶を飲むのは霊夢くらいだ。   我把茶杯拿在了手裏,這時的茶水已經不那麼熱了,不過當然,我是故意要這樣的。在這麼熱的夏天裏還能沒事兒人兒似的喝熱茶,這種事兒也就靈夢能幹得出來。
「名前が無いことで、この動物は認識レベルでは他の物と特別が付かず、世界と同化していた。石とも骨とも土とも動物とも言えず、ただそこに在っただけなんだ。それは神の本来の姿に近く、それ故神はこういった名も無い物にしか宿らない。そして神の宿った骨は、遥か未来に肉を得て地上に君臨する為に、自らを成長させているんだ」 「由於沒有名字,這種動物在人們的認知層面上就和其他的物體沒有了區別,從而與世界同化了。人們既不能稱它為石頭,也不能說它是骨頭、泥土或是動物,它僅僅只是在那裏而已,這就使它接近於神原本的形態,神也是因此才只會寄宿到沒有名字的物體裏去。而在這之後,神靈所寄宿的骨頭,為了在遙遠的將來得到肉體而君臨於世上,其自身則會不斷地進行成長。」
「ちょっとちょっと待てよ。話が飛躍しすぎてよく分からないわ」 「稍等、稍等一下嘛,話題蹦得太快了我都搞不明白了。」
「そう?簡単な話だよ。霊夢の持っている骨は何らかの神の化身になろうとしている者の一部なんだ」 「快嗎?多簡單的事情呀。靈夢你手上的那塊骨頭將來是要成為某種神靈化身的一部分的。」
「そうなのかなぁ」 「真的假的呀…」
「大きくなり続けるのもその証拠の一つ。でも、もっとな確かな証拠がある。それは、僕の能力で視ても名前が判らない、と言うか名前が無いという事だ。」 「它會一直增大下去,這就是這種說法的一個證據,不過,還有一個更加明確的證據,那就是,以我的能力也是看不到它的名字的,或者說,它本來就是沒有名字的。」
「そう……そこまでは私では判断付かないけどね。それで、この骨は何の神の化身になろうと言うのかしら?」 「是嘛……既然和你的能力有關那麼我就做不了判斷了。那你說,這塊骨頭將來會成為什麼神的化身呢?」
「そんなのすぐに想像できるじゃないか。その大きさの背骨を持つ神の化身。幻想郷でもたまに見かける神だけど……霊夢には何だか判るよね?」 「有那麼大脊椎骨的神的化身,那不一下子就能想像得到了?這種神在幻想鄉里也能偶爾得見呢……靈夢你該知道是什麼了吧?」
「あー、なるほどね。そういうこと……判ったわ。」 「啊—原來如此。原來是這樣……我明白了。」
 
  日も沈み始め、空はほんのりと赤く染まっていた。すっかり昼間の暑さは引き、風鈴の音だけが昼間の暑さを思い出させようとしていた。二人とも満足した様子で帰って行った。   漸漸地太陽將要落下,天空被染成了淡淡的紅色。白天的炎熱已經完全散去,只有風鈴的聲音還在讓人回想起那段酷熱的時光。而她們兩個人則心滿意足地回家去了。
  さすがに僕でも、神々が名前を付ける時代以前の物の名前を視る事は出来ない。だが人間はその時代の骨を見つけ、勝手に名前を付けてしまう。その時点で名も無い神の一部からただの石へと固定させてしまう。それが化石と呼ばれるものだ。   就算我再有本事,諸神命名時代之前的東西的名字我也是看不到的。可是人類卻在發現了那個時代的骨頭之後,就自作主張地給它們起了名字。而他們起名字的同時,沒有名字的神靈的一部分也就被固定、淪為區區的一塊石頭了。這就是被稱作化石的東西。
  化石と化した神の一部は、その時点で成長を止めもう大きくならなくなる。その中途半端に巨大化した骨を見て「昔はこんなに大きな動物が居たんだよ。」等と言う人間は、想像力が足りなすぎて少し哀れでもある。   神靈的一個部分變成了化石,同時它也就停止了成長,再也長不大了。看見這種只成長到一半兒的巨大的骨頭就會說什麼「很久以前可有這麼大的動物存活過喲」的人類們,其想像力的極度匱乏實在是讓人有些替他們悲哀。
 
  ―――カランカラッ   ——叮噹哐
「ああ、もう一つ聞き忘れたことがあったわ」 「啊,還有件事兒我忘了問了。」
  風鈴を仕舞い窓を閉めていると、また霊夢が戻ってきた。   我收起風鈴,正在關窗戶的時候,靈夢又回來了。
「なんだい?また骨の話かい?」 「怎麼了?還是骨頭的事兒嗎?」
「霖之助さんの話で、この骨が『龍の一部』で有ることは判ったわ。でも、この骨が落ちていた場所に古い貝の化石も見つかったのよ。これって海の生き物よね?これ何故なのか判るかしら?もしかして、幻想郷も昔海の中だったのかしら?こんな山奥なのに……」 「按你說的,我知道這塊骨頭是『龍的一部分』了,不過,在這塊骨頭掉落的地方我還發現了古老貝殼的化石,它們應該是海洋生物對吧?那這又是為什麼呢?難道說,幻想鄉很久以前也是在海底的嗎?現在卻在這麼深的山裏……」
  想像力に乏し過ぎる人間は、端から哀れに見えるものだ。『海の生き物が地中に埋まっていたから、ここは昔は海だった』と思うなんて哀れ過ぎる。   缺乏想像力的人類,無論如何都讓人覺得太悲哀了。竟然會認為『既然有海洋生物埋在地低下,那麼很久以前這裏就是海洋』,真是悲哀之極。
「そうか、龍の骨と一緒に海の貝も理まっていたか……。それでどうして幻想郷が昔海の中だったなんで思うんだい?」 「是嘛,龍的骨頭和海里的貝殼埋在了一起呀……那你憑什麼就認為幻想鄉很久以前就是在海里的呢?」
「え?だって、そういうもんじゃないの?うみだった場所が陸地になれば、貝だって取り残されるし」 「哎?難道不是這樣的嗎?以前是海的地方如果變成了陸地的話,貝殼就會留在那裏了。」
「そういうもんじゃないさ、徐々に陸になったとすれば海の生き物は全て海に逃げる。反対に、一瞬で陸になる程の異変が起これば、貝なんて原形をとどめていないだろう。どっちにしたって、石になるまでじっとしているなんてことあり得ないだろう?」 「不是這麼一回事兒啦。如果大海漸漸變為陸地的話,那海里的生物就會全部都逃回大海的。反過來說,要是能有場異變能讓海洋瞬間變為陸地的話,那貝殼之類的早就保不住它們原本的形狀了吧。不管怎麼說,它們在變成石頭之前是不可能老老實實一動不動的,對吧?」
「そうだけど……じゃあこの貝は何なのよ」 「這倒也是……那,這些貝殼究竟是什麼呀?」
「龍にとってはね、自分の生まれる場所が海である必要があるんだよ。骨の場所が海でないと復活が出来ないんだ。この貝はその目立て」 「對於龍來說呢,它所出生的地方必須是一片海洋,要是它的骨頭所在的地方不是片海的話那它就復活不了了,這貝殼就是佐證。」
「そんな話聞いたこと無いわ?龍が海でないと復活が出来ないなんて」 「這種言論我可沒聽說過,龍要是不在海里就復活不了?」
  神の話は、僕より巫女である霊夢の方が詳しくあって欲しいと思ったが、霊夢はまだ子供だ。ここは僕がもっと教えてやる必要がある。   比起我來,作為巫女,我是真希望靈夢你會比我更了解這方面的常識呀。不過靈夢還是個孩子,這裏我有必要再教給她一些東西。
「龍は海の中で復活し雷雨の中、空へ昇り、そして天を翔る。その証拠に、海も雨も天も全て龍が名前を付けた物である事が挙げられる」 「龍會在大海中復活,並在雷雨中直飛向天空,而後則會在天空中翱翔。海、雨、天這三個名字也都是龍所賦予的,這就是它的證據。」
「詳しいのね。本当かどうか判らないけど」 「你懂得真多啊。就是不知道是真的還是假的。」
「その理由は、海、雨、天は全て同じ言葉で、三つとも『あま』と読む事からも判る。海人は単体でもあまと読むが、正確には『あまびと』だ。雨傘(あまがさ)、天の河(あまのがわ)などは普通に使う言葉だ。龍は雷雨を呼びながら天を飛び、竜宮が海の中にあるように水と深い繋がりがある事は霊夢でも判るだろう?」 「其中的緣由,從海、雨、天、這三字全部都讀作『AMA』這一點就能知道了。海人這個詞單拿出來雖然也能讀作『AMA』,但正確的讀法是『AMABITO』。雨傘(AMAGASA),天河(AMANOGAWA)這些更是我們常用的詞彙。龍會召喚着雷雨飛向天空,這和龍宮在大海里一樣,都和水有着很深的不解之緣,這一點靈夢你應該也是知道的吧?」
  霊夢は少し疑っている様子だったが、僕は霊夢の想像力をもっと豊かにするためにそのまま続けた。   看靈夢的樣子似乎還在懷疑我所說的話,為了能讓靈夢的想像力更加豐富起來,我接着說了下去。
「もう一つ、龍が三つの『あま』を駆け抜ける証拠として挙げられるのが、天に掛ける『虹』だ。あの雷雨の後に現れるのは、龍が現れたという痕跡なんだ」 「還有一個現象可以拿來說明龍是馳騁於海、雨、天這三者之間的,那就是天上掛起的『彩虹』。彩虹之所以會在雷雨之後出現,就是因為那是龍曾經出現過的痕跡。」
「あー、なるほど。それは何となく判ったわ。」 「啊—原來如此。這我就差不多明白了。」
「そう、龍が生まれるには三つの『あま』が必要となる。雨と天は在るが、幻想郷には海が無いんだ。だから龍は幻の海を創ろうとした。その幻の海の目立てが、一緒に眠っていた貝の石なんだ」 「就是這樣。龍的出生需要海、雨、天這三個要素,幻想鄉里有雨和天,但卻沒有海,所以龍就想要把幻想的海洋創造出來。而這幻想之海的佐證,就是與這塊骨頭沉睡在一起的貝類的石頭。」
 
  霊夢は得心がいった様子で、暗くなる前に神社に帰っていた。   靈夢理解了我所說的話,在天黑之前就回到神社去了。
  今日、僕が霊夢と魔理沙に教えた龍の石の話は、何も僕の創作ではない。これは僕しか知らないことだが、実は化石と呼ばれる石は外の世界でも竜と呼ばれているのだ。恐竜、翼竜、海竜、様々な呼ばれ方をしている。今の様な話は幻想郷の外では常識なのだと思う。   我今天教給靈夢和魔理沙的有關龍的石頭的事情,絕對不是我所編造出來的。雖說這件事只有我知道,但實際上這種被稱作化石的石頭,在外面的世界裏也是被稱為龍的,而且還有恐龍、翼龍、海龍,等等等等的稱呼。今天我說的事情,在幻想鄉外部已經都是常識了吧。
  ところが、幻想郷では竜(=動物)は龍(=神)へと変化し、化石ではなく生きた骨となっている。何故その様な事が起こるのかと言うと、それは幻想郷では元の動物に名前を付けていないからだ。名前を付けない事で、骨は化石になることを拒み成長を続けるのだ。   不過在幻想鄉,竜(=動物)變化成了龍(=神),其骨頭也不再是化石,而成了活着的骨頭。至於為什麼會發生這樣的事情,因為在幻想鄉,原始的動物是沒有被賦予名字的,也就因此,它們的骨頭才會拒絕成為化石而繼續保持着成長。
 
  僕は、名前の無い時代の物には名前を付けることはしない。自分の能力で名前が視えない物に関しては、深く記憶を探らない。それは神の力を無断で借りる行為であり、己の驕りでしかないと考えている。   我是不會為命名時代之前的東西取名字的。對於以自己的能力仍看不到其名字的東西,我也不會去我記憶的深處翻找些什麼,我認為那是擅自借用神力的行為,那樣做只會表現出自己的傲慢。
つづく 待續

註解

  1. 日語中「冷やかす」即意為「嘲弄」,但它也有「使……涼快」的意思。這裏巧妙地用了個反義詞。
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