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东方求闻史纪/独白

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第151-155页
< 危险区域指南:彼岸   东方求闻史纪   未解决资料:遗落于迷失竹林中的便笺 >
独白 独白
  私が幻想郷縁起を編纂し始めたのは、一代目の阿一の時で十八歳位になった頃だから、もう千年以上前の話である。その当時は文字が読める事自体が一般的ではなく、初期の幻想郷縁起はすぐに読んで貰うと言うよりは後世に伝える為に記述した物だった。今の自分が読んでも当時の文字は読み辛く、これでは資料としての意味が殆ど無かった。   幻想乡缘起的编集,从第一代阿一十八岁时算起,至今已千年以上。当时的文字一般并非用来阅读,初期的幻想乡缘起与其说是为了马上阅读,不如说是为了流传给后代而记述下的书物。现在的我难以理解当时的文字,作为资料无法发挥其意义。
  それから、阿爾、阿未と転生を続け、この度めでたく九代目として生まれ変わる事が出来た。転生を行うと大抵の記憶は失われてしまうが、先祖に当たる阿礼が持っていた求聞持の能力、つまり見た物を忘れないと言う能力を受け継ぐことが出来る。勿論、阿求としての私もその能力を持っていて、本を編纂するのに役立てている。   之后阿尔、阿未转生,很幸运我作为第九代出生。转生后过去的记忆基本上都失去了,先祖阿礼拥有的求闻持能力,即过目不忘的能力,却能继承下来。当然我阿求也拥有此能力,在编集书物时大有用处。
  私は、阿一の生まれ変わり、さらに言えば阿礼の生まれ変わりである事は何となく理解しているが、残念ながら昔の幻想郷の記憶は鮮明ではない。それは私も普通の人と同じで、過去を知るには過去の資料を読むしか知る手段は無い。   我作为阿一,或者说是阿礼的转生,总算能理解这回事。但过去幻想乡的记忆却难以鲜明。若想知道过去的历史,也得和普通人一样,通过翻阅资料来了解。
  だが、幻想郷のあり様はここ百年余りで大きく変化した事は間違いないだろう。本来、妖怪に恐怖してきた人間も、妖怪退治に躍起になっていた人間も既に居なくなり、今では妖怪が人間の里に遊びに来たり、人間も悪魔の家にお呼ばれする世界へと変化している。今回の幻想郷縁起は、新しい幻想郷になってからの初めての本である。今では妖怪に人間が喰われる事も殆ど無い。その為、どう言った内容にするのが良いのか大いに悩んだが、悩んだ結果、今までの妖怪の注意や対策等は踏襲しつつ、新しい妖怪の見方が出来るように少しずつアレンジ(*1)を加えてみた。妖怪個人をピックアップして、私生活まで踏み込んでみたりしたのも、妖怪と人間の新しい関係を築きたいという思いからである。   可以肯定的是,幻想乡这百余年来,发生了巨大的变化。无论是非常害怕妖怪的人类,还是积极活跃以退治妖怪为生的人类,都不复存在。现在的幻想乡,妖怪会去人类村庄玩乐,人类也会被恶魔招待去它家。这次的书,是新幻想乡成立以来的首本幻想乡缘起。现在人类被妖怪吃掉的事很少发生了。所以我曾一直烦恼究竟书中要写什么好,烦恼的结果是将至今为止认识的妖怪写上注意事项和应对方法,让人们即使发现了新的妖怪也有一定应对方法(*1)。选出个别妖怪,也记载妖怪的一些私生活,都是为了让人们与妖怪融洽相处。
  さらに言うと、今回の幻想郷縁起は妖怪からのアピール(*2)も多く、人間が妖怪から身を守る為の資料だったのが、いつの間にか妖怪が自分の事を他に知らしめたいという内容に変わりつつある。実は今回の幻想郷縁起では、若干妖怪の危険度を水増しして書かれている。今の幻想郷の実情は、人間を取って喰ったりする事はまず無いと言っても良いだろう。   说得更直接些,这次的幻想乡缘起,有很多来自妖怪方面的抗议(*2),本来此书是作为保护人类的资料用的,后来妖怪们希望知道更多关于自己的描述。事实上这次的幻想乡缘起有一些妖怪写得比实际上危险。现在幻想乡的实情是,人类基本上不会被袭击吃掉吧。
  こうなると幻想郷縁起は一体誰の為に、何の目的で書いている資料なのかもう一度考え直さないといけないのかも知れない。そうでないと、私が転生し続ける意味も薄れてしまうからだ。今回の幻想郷縁起を書き終えたら、この本を広く公開し、その上でさらに私が転生を続ける必要があるか皆に問う事にしよう。   这样一来,幻想乡缘起倒底是为了谁,又为了什么而写,可能就得重新思考一番了。不然我继续转生下去其意义也不大。当此书完成,并广为流传后,我决定询问众人的意见,我是否应该继续转生下去。
  しかし、幻想郷縁起が不要になる時代が来たと言う事は、逆に言えば人間にとっても妖怪にとっても理想の時代が訪れたと言う事だろう。何しろ、命の危険も少ない上に、いつでも平和的に決闘を行えるのである。妖怪退治も名前だけの妖怪退治で、人攫いもポーズとしての人攫いなのだ。安全で、かつ刺激的な世の中は、妖怪にも人間にも最高の時代だろう。   不过反过来说,当幻想乡缘起不再被需要的时代来临,无论对妖怪还是人类来说,都是一个理想的时代吧。毕竟没有了生命危险,决斗也是和平的进行。妖怪退治只是挂个名字,袭击人类也只是做做样子,既安全又有刺激的世界,对妖怪和人类来说,都是最美好的时代吧。
  この様な幻想郷が作られたのも、ひとえに博麗大結界によって世界が隔離されたお陰である事は疑いようが無い。外の人間が力を持ち始め、妖怪の存在を否定し始めた頃、既に幻想郷は滅亡の危機にさらされていた(*3)。そこで妖怪の賢者が取った策とは、大結界により幻想郷を隔離すると言う物だったのだ。   能够创造出如此美好的幻想乡,毫无疑问全靠将幻想乡与世界隔离的博丽大结界。当外面世界的人类开始拥有力量,对妖怪开始否定的时候,幻想乡面临灭亡危机,(*3)这时妖怪之中的贤者采取的计策是,利用大结界将幻想乡隔离。
  この大結界とは、いわゆる常識の結界である。この大結界により、外の世界は外の常識で、幻想郷は外の非常識と分けられた。外の世界が妖怪や夜の世界を否定し始めた事を逆に利用し、否定する事によって物や力が流れ込む世界を生み出したのだ。なんて消極的ながら画期的で革新的なアイデアだろうか(*4)。つまり大結界を張ったという事は、妖怪は自ら人間社会にとって不要な者なんでしょ?良いですよ、こっちは勝手にやりますから、と言ってのけたと同じなのだ。   这个大结界,可以说是常识的境界。外面世界有外面世界的常识,而幻想乡则是作为非常识的存在。外面世界对妖怪、夜之世界否定时,大结界会利用这被否定的东西与力量,流入和诞生于结界之中。虽然消极,却是一个划时代、革命性的决定(*4)。也就是说,大结界的张幕,妖怪成了人类社会遗弃的东西,也可以说成是,那好吧,我们自有一套。
  その苦肉の策は完全に成功している様に見える。もしかしたら苦肉の策ではなく、最良の策だったのかも知れない。だがそんな大結界も、百年近く経過して一つ歪みが現れ始めた。それは、妖怪が人間を襲えなくなった事の弊害で、妖怪の力が弱体化してしまった事だった。これでは、何か新しい妖怪が外で死滅し幻想郷に流れ込んだ時に、現状の妖怪では歯が立たず幻想郷が支配されてしまうかも知れない。その大結界の所為で幻想郷が崩壊すると言う事も考えられる。   这条苦肉计看来非常成功。说不定这不是苦肉计,而是最完美的计策。不过由于这大结界,幻想乡在经过百年后出现了危机。那就是妖怪们不袭击人类后,妖怪们的力量开始弱化。若有新的妖怪在外面灭绝后流入幻想乡,幻想乡中原有的妖怪会不敌新妖怪,而幻想乡会受到新妖怪的支配。有人会说,幻想乡会因为大结界而崩坏。
  勿論、それを回避する策も考えられた。それは、擬似的な戦闘を決闘(*5)と言う形で行い、妖怪、人間共に闘い続けましょう、と言う物だった。今では、妖怪は定期的に異変を起こし、異変解決の専門家がそれを解決すると言う流れが生まれている。 今回の幻想郷縁起もその意向を汲み、妖怪は人間を襲う者という部分を強調気味に纏めた。妖怪は人間を襲い、人間は妖怪を退治する。擬似的にでもこの形が無いと、幻想郷の未来は暗い物になってしまうだろう。   当然,为了避免这种事情发生,也想好了相对的计策。那就是以决斗形式进行的模拟战斗(*5),让妖怪与人类都能继续战斗。现在幻想乡中妖怪们会定期发动异变,也有相对的专家去逐个解决。这次的幻想乡缘起也据此在妖怪袭击人部分进行了强调。妖怪袭击人,人类退治妖怪,正因为有了这些形式,幻想乡的未来才不至于灰暗。
  私の見知では、今の妖怪の力は弱体化どころか、狭い幻想郷には過剰な力だと思う。外の世界では次から次へと妖怪が忘れ去られている証拠だろう。だが、どの妖怪も外の世界に攻め込もうとはしない。それは何故か。妖怪は外の世界の人間に敵う訳がないと思っているのだ。外の世界はそれ程までに人間の世界となってしまった。外の世界で妖怪の名前が出る時は、物語の中だけで、それも退治されるだけの存在(*6)に貶められている。だから、幻想郷は狭すぎても、ここから出て暴れようとする妖怪は居ないのだ。   据我来看,现在妖怪力量弱体化,是因为对狭窄的幻想乡来说是过剩的力量。也是外面世界接二连三的忘掉了妖怪的证据吧。不过无论哪种妖怪都不会去攻占外面世界,为什么呢,我想是因为妖怪敌不过外面世界的人类。外面世界已经发展成如此以人为中心的世界了。在外面世界即使提及妖怪的名字,那也只是出现在故事中,而且是作为一种击退消灭的贬义存在(*6)。所以即使幻想很狭窄,也没有妖怪会离开这里,冲向外世界。
  妖怪に限らず、現状で満足出来ると言う事が幸せへの唯一の方法で有り、最も難しい事の一つだろう。確かに、不満を挙げることが向上心に繋がり、より良くしていく事になる。だが、言い返せばそれは欲で有り、欲深き者には滅びの道しか残されていない。吾唯足るを知る、今ある物で自分は満たされていると言う意味である。一足早く妖怪は吾唯足るを知るの境地に至った。今の幻想郷を見てそんな気分にさせられる。このまま、狭いながらも無欲で幸せな幻想郷でありたい(*7)。   不光妖怪,知足常乐是通往幸福的唯一道路,但同时也时很困难的事情。的确,提及各种不满能增加进取心,事情有时也会向良性发展。但是反过来说,这也代表有了欲望,野心勃勃者最终只会灭亡。知足常乐就是对现有事物能够满足。妖怪们首先达到了这个境界,现在的幻想乡就充满了这种气氛。希望这个虽狭窄,但无欲又幸福的幻想乡能维持下去(*7)。
  なお、御阿礼の子と呼ばれる人間は――早い話が全て私の事だが、余り長生きは出来ない。それは転生が不完全なのか、知能が高すぎる為なのかは判らないが、とにかく三十迄生きる事は出来ないだろう。それに転生の術は何年も前から準備しないといけない。それ故、普通の人間としての生活は殆ど送れないだろう。今の幻想郷は昔に比べると遥かに愉しく過ごし易いので、それだけが残念である。さらに言うと転生の術は、生きている内から閻魔様に許しを乞い、転生後の肉体を用意して貰うまでの百年余りの時間は、地獄の閻魔様の下で働く事となる。その為、今の様に幻想郷と冥界の行き来が容易くなったとしても、私は幻想郷の様子を見る事は出来ない。   所有御阿礼之子,或者说全都是我,寿命无法长久。不知是转生不完全,还是智能太高的缘故,总之大概活不过三十岁。而且转生之术还得提早很多年便开始准备。所以能够过上正常人生活的时间实在很少。相对以前,现在的幻想乡能够过得更轻松愉快,在这点上真是非常遗憾。转生之术其实就是在生前乞求阎魔大人的许可,在得到转生用的肉体和转生前的百余年间,在地狱的阎魔大人手下劳动。其间,即使现在幻想乡来往冥界变得容易了,我也无法知道幻想乡的变成什么样子了。
  今まで転生を行う度に、人間関係がリセットされるのが一番辛い事だった。だが今回は何かが変わる予感がする。それは、妖怪と人間の距離が近くなり、私にも妖怪の知り合いが増えた事だ。妖怪なら、何百年でも生き続ける事はざらである。私が百年以上地獄に落とされていようとも、人間は全て入れ替わってるだろうが、妖怪は同じ顔ぶれに会う事が出来るだろう。今の幻想郷は、転生への恐怖と孤独も和らげるのだ。   至今为止各次转生中,最痛苦的事情莫过于所有的人际关系都被清空重头来过。但是这次我有会不一样的预感。那就是妖怪与人类距离缩近,我也认识了不少妖怪的事实。妖怪能够活数百年,即使我坠入地狱百余年,认识的人类都已不复存在,但也许能再遇到认识的妖怪吧。多少能中和我对转生的恐惧、不安与孤独。
  十代目の御阿礼の子の時代は、どんな世界になっているのだろう。今の幻想郷は、機転の利く妖怪のお陰で完全な世界を保っている。この調子なら、何の変化もないまま幻想郷は存在し続けるだろう。今の幻想郷は、外の世界に大きく依存している。それは、大結界が常識の結界だから当然の事であるが、幻想郷の中の力だけではどうにもならない事が存在している事は、やはり恐怖である。   不知道到了第十代御阿礼之子时,世界会变成什么样子啊。现在的幻想乡,全靠机灵的妖怪才能保全完整。往后幻想乡也会一直这样不变吧。若说幻想乡会崩坏,那也只可能是外面世界率先崩坏。现在的幻想乡,非常依赖外面世界。因为大结界的常识的境界,光靠幻想乡中的力量难以存活,这么一想真是可怕。
  もし、外の世界が崩壊したとしたら、妖怪の賢者はどういう行動を取るだろうか。やはり、すぐに大結界を消滅させ、外の世界を支配し始めるのだろうか。まずは夜の世界を妖怪の世界とし、世界は再び闇の世界へと逆戻りするのだろうか。   若然外面世界崩坏了,妖怪的贤者们会采取什么行动呢。很可能马上消灭大结界,进而开始支配外面世界。首先夜之世界会成为妖怪的世界,世界会重回黑暗一片吧。
  何故か私にはその未来は想像出来ない。今の幻想郷の妖怪を見る限り、妖怪の未来は明るい物としか思えないのだ。一足早く精神的に優れた世界を創り上げたのは、外の世界の人間でも、妖怪退治をする人間でも無く、妖怪だったのである。その妖怪が愚かな真似をするとは思えないのだ。我々、里の人間はその妖怪の存在を強固な物とする為に、妖怪と闘っているポーズを大切にし、これからも妖怪退治を続けていくだろう。   不知为何,我难以想像出未来的情景。纵观现在幻想乡的妖怪,很难说妖怪的未来是一片明朗。若要快些营造出精神愉快的世界,那就是即使在外面世界,退治妖怪的也不是人类,而是妖怪。这种妖怪不会做些蠢事。我们村庄的人们,为了牢固地保持这种妖怪的存在,将会维持着与妖怪战斗的形式,退治妖怪也会一直继续下去吧。
  今回の幻想郷縁起は、これでまだ終わりではない。私が転生の準備を始めるまで編纂され続けるだろう。それまで、幺樂団の演奏でも聴きながら、私(*8)の好きな紅茶を愉しみ続けたい。   这次的幻想乡缘起,还未算完结。我会在转生准备开始前,继续编集本书。在此期间我希望能一直边听幻乐团的音乐,边享受我(*8)最喜爱的红茶。
九代目阿礼乙女 稗田阿求 第九代阿礼少女 稗田阿求
 
(*1)積極的に横文字を使ってみたり、イラストを交えてみたり。 (*1)积极使用横文字和添加插画。
(*2)もっと、自分を強そうに書いてくれ、とか、こういう能力持ってるけどどう等。 (*2)要求将它们写得更强些,希望自己有某某能力等。
(*3)八代目の阿弥の時代、幻想郷は妖怪の力が薄れ、外の人間も妖怪を否定し、既に崩壊寸前だった。 (*3)第八代阿弥的时代,幻想乡妖怪力量薄弱,外面人类也否定妖怪,幻想乡岌岌可危。
(*4)我々、里の人間は元々その幻想郷に住んでいた為に巻き込まれた可哀相な人間だが。 (*4)我们这些原来就住在幻想乡中的人们被卷入这事件中,真是可怜。
(*5)決闘とは、疑似的な人攫いと疑似的な妖怪退治の言い換えでもある。 (*5)决斗也可以说成是模拟袭击人和妖怪退治。
(*6)今では、妖怪はただの雑魚扱いで、最大の敵は人間と言う話が多いと言う。 (*6)现在的故事常见妖怪是手下杂兵,最终敌人却是人类。
(*7)あ、これも欲か。吾唯足るを知るの境地はまだ遠い。 (*7)啊,这也是欲望的一种吧,我离知足常乐的境界还差得远呢。
(*8)阿求になってから好きになった。 (*8)成为阿求后便爱上了红茶。
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