第百二十六季 文月の一 |
第一百二十六季 文月[1]之一 |
冤罪被害者の救世主? |
冤罪被害者的救世主? |
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見ざる言わざる聞かざる |
不看不說不聽 |
人間が夜更かしをする日といえば庚申の日である。庚申の日というのは六十日ある十干十二支のうちの一つであるが、普段、夜は妖怪を怖れて出歩かない人間達も、古来からの日は集まって飲み明かすという。いつから、そして何の為にこの風習が始まったのか知る者も居ない。比較的夜も安全になったとはいえ、お酒を呑む風習だけは変わっていない。 |
人類在庚申之日一般都會熬夜。所謂庚申雖是有六十日的十干十二支之一,但平常夜晚怕妖怪出沒不敢在外頭走動的人類也從很久以前開始便在這一天聚到一起喝到醉。無從得知從什麼時候,為了什麼開始的這個風俗習慣。雖然夜晚最近變得比較安全了,但喝酒的風俗習慣沒有改變。 |
そんな庚申の日にも変化が訪れようとしている。豊聡耳神子さん(仙人)はこう語る。 |
這傳統的庚申之日也發生了一些變化。豐聰耳神子女士(仙人)這麼說道。 |
「人間の体内には三尸という虫が住んでいて、その虫が庚申の日の夜に抜けだし、天帝に人間の行った悪事を伝えることで寿命を減らされるのです。ですから庚申の日、寝ずに見張っていれば自分の悪事はばれません」 |
「人類體內有一種叫三屍的蟲子,這個蟲子在庚申之日會跑到天帝那裏傳達人類所做的惡事來減少人類壽命。因此只要在庚申之日,不睡覺一直盯緊的話自己干的壞事就不會被知道了」 |
庚申の日の宴会はそういう理由から始まったのだという。 |
庚申之日的宴會據說就是這麼開始的。 |
「しかし今の宴会ではみんな酔いつぶれてしまい、むしろ虫がダダ漏れです。これでは意味がありません。そこで開発したのが、『四猿(しざる)ちゃん』です。これさえあれば寿命は伸ばし放題、まさに死ざる」 |
「但是現在的宴會大家都會喝醉,反而讓蟲子更猖狂的跑去打小報告。這樣的話就沒有意義了。為此我所開發的就是『四猿[2]』。只要有這個的話就可以延長壽命了正所謂不死」 |
彼女が自信満々に取り出したのが、『見ざる言わざる聞かざる』のポーズをした猿に、追加で『逃さざる』のポーズが入った四体の人形セットだった。これは人間から這い出る虫を見ると執拗に追いかける様にプログラムされた人形だという。つまり、酔いつぶれて虫が出てきてしまったとしても、この人形を置いておけば虫は捕まえられ、天帝の元[3]まで辿り付くことは無いのだ。 |
她自信滿滿的拿出來的就是擺着「不看不說不聽」的姿勢的猴子們,加上一個擺着「不放過」的姿勢的猴子的四個猴子的人偶。這個據說是設置了只要看到了從人身體裏出來的蟲子就會一直追趕的程序。就是說,就算喝醉了讓蟲子跑出去了,只要有放這個人偶的話就能抓到蟲子,不會讓蟲子到天帝那裏去了。 |
しかし、それは天帝の意に背く事にはならないのだろうか? |
但是,這是否能理解為違抗天帝吶? |
「天帝だなんて言っているけど、本当は違うのよ。その虫を人間に植え付けるのは地獄の死神だし、報告に行く先は閻魔様よ。あいつ等の商売の為の虫なんだから、人間は抵抗してなんぼなのよ」 |
「雖然一般都說是天帝,但其實不是的。把這個蟲子弄進人類身體裏的是地獄的死神,它們是在給閻魔大人打小報告。它們只是為了買賣用的蟲子所以人類抵抗也沒有問題的」 |
仙人の最終目標は不老不死であり、最大の敵は死神である。ちなみに四猿ちゃんは受注生産でオープン価格(決して安くない)との事。 |
仙人的最終目標是不老不死,其最大的敵人便是死神。順便說四猿醬是訂貨生產,價格是開倉價格(但絕不低)。 |
(射命丸 文) |
(射命丸文) |