第百二十一季 睦月の二 |
第一百二十一季 睦月[1]之二 |
使い古した道具の未来は? |
用舊了的道具的未來是? |
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妖怪ベビーシッターは見た |
妖怪保姆的目擊證言 |
最近、雨も降っていないのに傘をさした妖怪が人間の里をさまよっているという。この正体は何とベビーシッターだ。 |
最近,在人間之里出現了明明沒下着雨卻撐着傘的妖怪。其真面目是保姆(baby-sitter)。 |
頼まれてもないのに、東に泣いている子供が居れば、威かしてあやし、西に笑っている子供が居れば威かして泣かすという。それを仕掛けているのは多々良小傘さん(唐傘お化け)である。 |
即使沒人拜託她,在東邊有孩子在哭泣的話她就會趕緊跑去嚇他哄他,在西邊有在開懷大笑的孩子的話她就會跑去嚇他讓他哭。引起此次事件的是多多良小傘小姐(唐傘妖怪)。 |
何故この様な仕事を始めたのだろう。その事について彼女はこう語る。 |
她是為什麼開始這種工作吶。她對這件事如此解釋道。 |
「知らないの? 傘で空を飛ぶのはベビーシッターの仕事なんだってさ」 |
「你不知道嗎?用傘飛天的聽說是保姆吶」 |
唐傘お化けとは付喪神の一種で、長年使われた傘が放置された結果、妖怪化したものである。かなり古典的な妖怪であり、どちらかというと人間を困らせる妖怪なのだが、それがベビーシッターとどう結びつくのだろうか。 |
所謂唐傘妖怪是付喪神的一種,被放置了很多年結果妖怪化的東西。是個相當古典的妖怪,要說的話應該屬讓人類為難的妖怪,不知這跟保姆有什麼關係。 |
「よく判らないけど外の世界では、ベビーシッターは傘で空を飛ぶらしいよ。それにならって私もこの商売を始めてみたの。子供なら威かすの簡単だしねー」 |
「雖然我不是很清楚,但聽說在外面的世界,保姆是用傘在天上飛的吶[2]。我就學着她們開始了這個買賣。小孩子的話嚇唬她們還是很簡單的——」 |
彼女の話を簡単には信用できなかったので、他の情報筋から話を聞いた。それによると、傘で空を飛ぶベビーシッターは実在するらしいが、魔法が使えるような一部のプロフェッショナルだけの話だそうである。私はてっきり『こうもり(子守り)傘』という言葉遊びだと勘違いしたが……。 |
因為她說的話有些無法相信,所以我從別的渠道確認了一下。據說,用傘飛天的保姆確實是存在的,但只是一部分能夠使用魔法的專家級的才行。我誤解是「蝙蝠(哄小孩)[3]傘」的文字遊戲了…… |
「傘として使って貰えないのなら、自分から役に立つ道具になりたいの。私は人を驚かすことぐらいしか出来ないけど……、人間が何を欲しているか予想して、道具の方から人間に合わしていきたいの。それが新しい付喪神の姿だと思っているわ」 |
「如果沒人拿我當傘用的話,我就自己主動當對人有益的道具。雖然我只會嚇人……,但我認為預測人類需要什麼,我們道具再主動去配合人類,這才是新的付喪神的姿態」 |
子供を威かして回る姿はベビーシッターと言うより、残念ながらただの変質者にしか見えなかった。現に人間の親の間では手配書まで作られているようである。付喪神の存在意義を見いだせるかどうか、その挑戦はまだ始まったばかりだ。 |
她到處嚇小孩的樣子,與其說是保姆,我覺得更像是單純的變態。現在在人類村落的家長之間據說都已經做出來通緝令了。不知她是否能看出付喪神真正的存在意義吶,她的挑戰才剛剛開始。 |
(射命丸 文) |
(射命丸文) |